仮面女子や「VR蓮舫」は「奇をてらっていると思ってない」
―― 党や政策をアピールする際の硬軟の使い分けについては、どう考えますか。民進党(当時)が出展していた「ニコニコ超会議」のブースでは、16年は仮面女子をゲストに招いたステージ、17年は蓮舫代表(当時)による追及の恐怖を体験できる「VR蓮舫」が盛況でした。「奇をてらわない」ということは、立憲民主党としては、あのようなアプローチからは決別するということですか。
枝野: いや、あれは奇をてらっていると思ってないんですよ。もともと「ニコニコ超会議」という場があって、それは、多くの若い人を中心にネットユーザーが集まって盛り上がっていたわけです。そこに「政党のブースを出しませんか」という打診があって、その場に合わせた出品をするのは当たり前のことです。なおかつ、そこでやっていることについて、無理をしてるつもりはないので...。つまり、いつも言っていますが、野田佳彦さんがアイドルの話をしたり、私がプロレスの話をしていたりしたら、それは無理をしている、奇をてらうことになる。でも私がアイドルのことをやっている分には、普段からしているので、奇をてらっていない。つまり、背丈に合わないことを無理にやらない、ということですね。奇をてらわないということは。自然体なんです。「ニコ超」みたいなイベントが今後あるのかは分かりませんが、オファーがあって、自分の普段話している話とズレていなければ、アイドルネタにも乗ります。
―― 「エンタメ路線=奇をてらう」ということでは、まったくないわけですね。オーソドックスに政策を訴えつつ、ぱっと楽しいコンテンツも展開しながらアピールすると...
枝野: 素の政治家を知ってほしいし、それをできるだけお伝えすることは政治家としての王道だと思っています。そこで有権者に媚びて、実は全然関心ないテーマだけど、「なんか最近注目されてるから」ってやるのは「奇をてらっている」。等身大の私を知ってもらうという範囲であれば、たまたま私の場合はアイドルだったり、カラオケだったりに過ぎない、ということですね。
―― いわゆる「にわか」だと、ろくなことがないですからね...!先ほどアイドルの話が出ましたが、政党代表がアイドルに関する発言をすることには、様々な受け止めがあるようです。記者としては、NGT48に所属していた山口真帆さんの問題など、公共性があると考えるからこそ質問をするわけですが...、ネット上では「枝野さん、よく言ってくれた」という声がある一方で、「他にもやるべきことがある」「質問する記者が悪い」といった声も多数飛んできます。アイドル関係の発信をすることへのためらいや、悩みはありますか。
枝野: 例えば記者会見で、こっちから「ついに峯岸みなみも卒業しましたが~」と、切り出すことはありません(笑)。聞かれて関心があることで、答えられることであれば答えます、でしかありません。あとは例えば「ニコ超」や、(支持者が集まってタウンミーティングが行われたりする)「立憲フェス」みたいな場であったり...それぞれの場に合わせて自然体で臨めればと思っています。例えば今日も、(服装を)どうしようかなと、ノーネクタイ、クールビズですね。でも(NHKの)日曜討論だったら、同じ季節でもネクタイ締めていくんだよね...という、それは自然に判断することではないでしょうか。
―― 仮に「枝野総理」になったとしても、アイドル関係の質問には同様に答えていただけるわけですね。
枝野: 聞く方が聞きにくくなると思いますけどね...!(立憲民主党の)代表になったことで、聞きにくくなっていますから。(民進党の)幹事長時代の方が、もっと聞かれてます。(幹事長会見と代表会見という「場」の違いについて)ネット番組と日曜討論のような違いはあるようです。
枝野幸男さん プロフィール
えだの・ゆきお 1964年栃木県宇都宮市生まれ。 87年東北大学法学部卒業。 91年弁護士登録。 93年日本新党より立候補し衆議院議員初当選。新党さきがけを経て 96年の民主党結成に参画。2009年からの民主党政権では官房長官、経済産業大臣等を務める。17年立憲民主党を設立し、代表に就任。