「皆が弱者なのだから皆で支え合うしかない」 枝野幸男・立憲民主党代表に聞く「日本の現実」【J-CAST単独インタビュー】

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財源めぐる個別税目の議論が先行すると「消費税の議論に矮小化される」

―― 「小さすぎて機能しない行政」の反省から、「大きな政府」を志向した政策が多く掲げられています。論点になるのが財源の問題です。5月19日の出版会見では、財源について説明を求める記者と、「本を読んでください」「ちゃんと読んでください、先入観なく」と答弁する枝野代表との間で、ちょっとした応酬もありました。著書では、以下のように様々な角度から議論が展開されていますが、優先順位について聞かせて下さい(アンダーラインは記者によるもの。配信先では表示されません)。財源として最も有望で、最も多くの額が捻出できそうなのは何でしょうか。

「(直間比率の議論を受ける形で)累進性を強化する方向で、直接税などの比率を上げていくことが必要だ」
「私自身は、財政規律を重視している。将来にツケを残すことになる財政赤字の拡大は、できるだけ早期に止めなければならない」
国民に長期的には必要な負担をお願いしなければならないことは間違いない」
「土木を中心とした従来型の大型公共事業を中心に置いた考え方から順次脱却し、『支え合い』のための事業の財源に振り向けることは、経済や社会の活力という側面からも合理的である」
「不信感が払拭されるまでの間は、消費税などの大衆増税は棚上げし、優先順位の低い予算の振り替えと国債発行などによって対応せざるを得ない」
枝野: その議論の仕方自体が、財務省につられているんですよ。つまり「個別税目のどこを上げるの?」みたいな話になっていけば、それは多分必然的に多くの人の眼は消費税に向かい、それで消費税の議論に矮小化されるんです。
だけどトータルで財源は確保していかなければならないわけで、そうなったときにまずやらなければならないのが直間比率の見直しです。直間比率の見直しというのは、直接税の比率を上げて、所得の再分配機能を高めることです。つまり、給付のところは(所得などに関わらず、誰でも等しく受け取れる)「普遍主義」に変えていく一方で、きちっと負担のところ、税や社会保険料の負担のところは累進を強化していく。大きな構造転換をして、同時に支出の優先順位を変えていく。それが成果を上げていると見えて初めて、「さぁ、それでも足りない財源をどうしますか」という議論をしなければならないのに、初めから「財源どうするの」という議論に乗っかってしまうと、もう財務省の手のひらの上です。だからそういう議論に私は乗らないだけです。

―― 支出の優先順位を見直すというのは興味深い議論です。先ほど挙げた著書の引用部分では「土木を中心とした従来型の大型公共事業を中心に置いた考え方から順次脱却し、『支え合い』のための事業の財源に振り向ける」という部分が、それにあたると思います。民主党時代に掲げていた「コンクリートから人へ」に近い考え方だと理解すればいいですか。

枝野: 「コンクリートから人へ」は、あの時代は一定の説得力があったと思いますが、話はそんなにシンプルではありません。例えば既存のインフラは老朽化していて、いずれ補修改修で莫大な費用がかかる。必要なのは、それなのに新しいものを作るの?という議論です。例えば、「コンクリートをやめるのではなく、今あるものを使い続けるだけでもお金がかかるのに、もっと新しいのを作るの?だったら、新しいものを作るよりも、社会保障に回した方が経済波及効果は大きいよね...」といった話です。

―― そうなると、(一部の野党が主張しているような)単純に消費税の税率をどうこうしたい、といった議論には、すぐにはならないんですね。

枝野: それは、完全に財務省に乗せられている議論なんです。消費税に特化した議論をしてること自体が、特に極端な減税派の人たちは全く逆のつもりでいますけど、その議論に乗っかった瞬間に、もう財務省の手のひらの上ですよ。
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