「皆が弱者なのだから皆で支え合うしかない」 枝野幸男・立憲民主党代表に聞く「日本の現実」【J-CAST単独インタビュー】

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「老後の貯蓄2000万円」問題は、政府が「経済分かってない」証明だ

―― そうなると、内需を伸ばすことが必要なわけですが、著書では、低所得者層の所得を底上げすると消費が拡大して経済成長につながると説いていました。

枝野: 再分配しないことには、購買力がない人にどんなにいいものやサービスを提供しても、消費が伸びるはずがありません。まず購買力をつけることが大前提です。次は、やっぱり「将来が不安だからカネを使わない」ので、将来不安は小さくするしかない。つまり、消費を伸ばすためには従来のような産業政策よりも所得再分配政策と将来不安(の解消策)なんですよ。そこを見間違えて、何か経済政策となると「特定の産業分野を伸ばす」とか伸ばさないとか...。それ以前のところで壁があるわけだから、そこを取り払わないとどうにもなりません。

―― 将来不安の文脈では、先ほど話題になった介護費用の問題がありますね。将来的にいくらかかるか分からない費用のために貯蓄を余儀なくされるので、消費に回らない。

枝野: わかりやすく言えば、公的な介護や医療は年金の範囲の中でまかなえて、そこそこの医療や介護を受けられるということが保証されれば、将来不安が決定的に小さくなるんですよ。具体的には、自己負担額を所得に応じて上限を設ければいい。年金額を基本にしながら、それよりも多くの所得がある方についてはさらに負担してもらうにしても、その年金の範囲の中から何%といった枠を決めれば、不安はものすごく小さくなります。

―― 19年には、老後の30年間で2000万円の貯蓄が必要だとする、金融庁の報告書が大問題になりました。

枝野: 2000万円貯金しろという話自体が消費を冷え込ませる政策で、それを財務大臣が言ったというのは、経済を分かっていないという証明なんですよね。どちらかと言えば、政府は「2000万円の貯蓄ができない人がたくさんいるのに何言ってるんだ」という文脈で批判されましたが、違います。それ以前に、経済を分かっていません。「みんなが2000万円貯めなきゃいけない」となったら、ますます消費が冷え込むじゃないですか。そこを分かっていないところが、一番のポイントでした。
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