「皆が弱者なのだから皆で支え合うしかない」 枝野幸男・立憲民主党代表に聞く「日本の現実」【J-CAST単独インタビュー】

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「シルバーデモクラシー」批判にどう答える

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「枝野ビジョン」(文春新書)の発売記念会見での枝野幸男代表(2021年5月撮影)

―― (高齢者の方が投票率が高く、高齢者向けの政策が優先される)「シルバーデモクラシー」との関連を指摘する声もあります。

枝野: 若い皆さんをターゲットにした講演では、年金と介護の話をします。「それはあなたたちための政策だから」というメッセージです。逆に中高年に向けた講演では、「子育て支援が、いかに皆さまへの政策なのか」について語るようにしています。これは20年くらい自分がやってきたことで、それを本にしただけです。もうひとつ、この本で強調したかったのは「情けは人のためならず」です。書き始めの時は、タイトルは「情けは人のためならず」にしようかと思ったくらいです。

―― 個人的には、日本を取り巻く状況として、もう日本は成長しないし、諸先輩方の貯金を食いつぶしてこのままだめになっていくのかな...という感覚を持ってしまいます。成長しないと、こういった「支え合い」のための原資も出てこないと思いますが...。

枝野: そういう風に捉えられるとしたら本の書き方が上手くなかったので...。というのも、(著書では)ある意味で経済は伸びていると書いているんです。外需では伸びていて、外需、輸出分野は他の先進国と比べても決して悪い数字ではないことを指摘しています。国際収支はずっと黒字基調です。つまり、日本は成長しているんです。今、我が国が伸びていないのは、内需が回っていないからです。もちろん(輸出)競争力が落ちているのは確かですが、それはむしろここから顕在化する話であって、これまでの2~30年(の日本経済の停滞)というのは、そこ(外需)が原因ではないことを明確にしないといけない。
いずれにしろ先進国が、かつての昭和40年代のように成長するはずはありません。この20年ぐらいの輸出の成長を維持できて、黒字基調が続いていけば、いいじゃないですか、十分。あとは国内でちゃんと金を回せば、GDPは伸びるんだし...、そういうことです。そういった意味で、そんなに悲観的ではありません。

―― 著書では、「少量多品種」で付加価値をつけることの重要性に触れていました。

枝野: 実際に日本の中小企業で、世界に伍して戦っているところも少なからず出てきているし、その潜在力はやっぱり圧倒的に高いですよ。ちゃんとマーケットと繋ぐことができれば、そこはそんなに心配しなくていいです。ですが、また世界の高収益企業のベストテンに日本企業が5社も入るとか、そんなこと自体が幻想です。日本全体として、例えば輸出が毎年3%ずつ成長していけば十分じゃないですか。それで貿易黒字を維持する。

―― このだめになっていくような雰囲気は何なんでしょう。

枝野: それは国内でカネが回ってないから、豊かさが偏在してるだけです。
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