体重が増加の一途をたどってきた北朝鮮の金正恩総書記をめぐり、一転して体重が減少したとの観測が出ている。
約1か月ぶりに公の場に姿を現した正恩氏の様子を見た専門家からは「痩せた」という声が相次ぎ、北朝鮮専門メディアは、腕時計のベルトが以前よりもきつく締まっており、手首が細くなったことを指摘している。ただ、体重の変化が単なるダイエットによるものなのか、健康悪化によるものかははっきりしない。周辺諸国は、引き続き正恩氏の健康状態を注視することになりそうだ。
体重は年に平均6~7キロ増加、20年には140キロ台に突入
北朝鮮の国営メディアが報じた正恩氏の最新の動静は、2021年6月11日に開かれた朝鮮労働党中央軍事委員会第8期第2回拡大会議。その前が6月7日の朝鮮労働党中央委員会と道党委員会責任幹部の協議会、さらにその前が6月4日の政治局会議だ。それぞれ6月12日、8日、5日に報じられた。政治局会議の前に正恩氏が公の場に姿を見せたのは、朝鮮人民軍の軍人家族芸術サークル公演の参加者と記念写真を撮った5月6日だった(国営メディアでは7日に報道)。この時は29日ぶりの動静報道だったが、動静報道が途絶える期間が長くなるたびに正恩氏の健康問題や死亡説が取り沙汰されるのが、北朝鮮報道の常だった。だが今回は、若干違った角度からの観測が浮上している。
正恩氏の健康状態をめぐっては、韓国の情報機関、国家情報院が20年11月に国会に対して行った報告で、正恩氏が最高指導者に就任して4か月ほどたった12年8月には体重が90キロだったが、年に平均6~7キロのペースで増加したと推定。19年には130キロ、20年には140キロ台に突入したとみている。
14年には、正恩氏が杖を使って歩く姿が国営メディアで報じられた。国情院の当時の分析では、足の裏に関係する神経が圧迫されたり傷つけられたりする「足根管症候群」を正恩氏が患い、手術を受けたことが原因だとみている。
ただ、20年11月の分析では、体重は増加したものの、深刻な健康問題を抱えているわけではなく、足根管症候群も治ったとみている。