瞬間接着剤で誤って指をくっつけてしまった――。そんなトラブルに見舞われたことはないだろうか。
ツイッターでは、2021年6月上旬ごろから「ハンドクリームを手に塗ってから瞬間接着剤を扱うと、万が一瞬間接着剤が手に付着してもすぐに取れる」というライフハックに注目が集まっている。発端となったツイートには6月7日現在までに約1万4000件を超えるリツイート、4万4000いいねという大きな反響が寄せられている。
いったいどういう原理なのか。 J-CASTニュースは、瞬間接着剤「アロンアルフア」の製造で知られる東亞合成(東京都港区)に取材した。
ハンドクリームやワセリンを塗ると?がしやすい、なぜ?
ツイッター上では、ハンドクリームのほかワセリンも指に接着剤がくっつきづらくなる効果があると話題になっている。このライフハックは「アロンアルフア」の公式サイトにも記されていた。
どうしてハンドクリームやワセリンで防ぐことができるのか。取材に応じた東亞合成広報担当者は、こう話す。
「油を敷いたフライパンで張り付かないのと同じです。ハンドクリームもワセリンも 主成分はワックスや油なので同じ効果で剥がれます」
また万が一、指にくっつけてしまった場合には無理に引っ張ったり剥がそうとしたりしてはいけない。40度くらいのお湯につけて、もむように洗うと剥がすことができる。少し残ったくらいであれば、汗や新陳代謝によって2~3日で自然に取れるとのことだ。家具などの表面についてしまった際には、専用のはがし液「アロンアルフアはがし隊」も用意している。
さて同社によれば瞬間接着剤に関する問い合わせのランキング上位は、このくっついてしまった際のトラブルと、接着した面の周りが白くなってしまった時の対処法だそうだ。たしかにプラスチックなどの表面に瞬間接着剤を使用すると、周囲が白くざらざらしたような状態になってしまうことがある。この理由と対処法も取材した。
白いざらざらの正体は?
「アロンアルフアは主成分のモノマー(分子量の小さい化合物)が数千・数万個つな がる化学反応で硬化します。この硬化前のモノマーはごく一部ですが気化します。気化した成分が周辺の水分で固まったものが白く見える原因です」
白く見えるのは、瞬間接着剤が液状の時に揮発(気化)し、空中の水分と反応し固まったものだという。防ぐためには、接着剤をつけすぎず、はみ出さないようにすることが大事だ。適量は10円玉の面積に1滴である。
また接着後に風通しの良いところに置いておくのも効果的だそう。もし白化現象が起こってしまったら、乾いた布やブラシでこすり取るか、専用のはがし液を用いることを推奨している。
さて東亜合成の広報担当者によれば、「アロンアルフア」という商品は知っていても使う頻度が少ない、具体的な用途が浮かばないといった声を寄せられることがあるという。確かに何かを壊してしまったときに応急手段として用いて、その後使わずに固まってしまったということは筆者にも身に覚えがある。
そうした声に応えて、東亞合成の「アロンアルフア」公式サイトでは、使用方法や具体的な用途事例を丁寧に紹介しているという。ちなみに同サイトによれば、長期保管する際には冷蔵庫での保管がおすすめだそうだ。
広報担当者は、同サイトの見どころをこう語った。
「アロンアルフアは今年発売50周年を迎える商品となり、多くのお客様に支えられてきた商品です。 SNSなどで、これまでの歴史やアロンアルフアの"小ネタ"を紹介するとお客様からの反応がよいこともあり、ブランド理解を深めて、アロンアルフアをより身近に感じてもらえるように工夫しています」
(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)