テレビ離れが進む中、「長寿番組」が岐路に立たされている。
2021年6月8日には、03年から放送が続いてきた「ぴったんこカン・カン」(TBS系)の終了が報じられ、ネット上では「毎回楽しみだったのに」「好きな番組だったけどなー」と惜しむ声が広がった。
ただ、長寿番組の中には、長く続いている割には存在意義がよく分からない、と視聴者に思われている番組もあるのではないか――。そこで今回、J-CASTニュースは3000人を超える読者を対象にアンケートを実施。放送期間10年以上のバラエティー番組のうち「これからも続いてほしいと思う番組」と「なぜ続いているのか分からない番組」を聞いた。
20代以下の半数はテレビほぼ見ず...
NHK放送文化研究所は21年5月20日、全国7200人(有効回答数は4247人)を対象に実施した「国民生活時間調査」(20年10月調査)の結果を公表した。調査によると、平日にテレビを見た人(15分以上視聴した人)の割合は10~15歳で56%、16~19歳で47%、20代で51%。10代~20代では、およそ半数の人が、ほぼテレビを見ていないという結果になった。
若者の「テレビ離れ」を物語る調査結果だが、長寿バラエティー番組の相次ぐ終了もそれを示唆している。
14年には32年続いた「笑っていいとも!」(フジテレビ系)、18年には前身番組から29年半続いた「とんねるずのみなさんのおかげでした」(同)が終了。6月8日にはTBS・安住紳一郎アナウンサーがMCを務める「ぴったんこカン・カン」(03~)が21年9月で放送終了となることを、複数のスポーツ紙が報じた。
転換期を迎えたバラエティー番組だが、90年放送開始の「世界まる見え!テレビ特捜部」(日本テレビ系)や95年開始の「鶴瓶の家族に乾杯」(NHK総合)など、息の長い番組もある。そこで、J-CASTニュースは読者アンケートを実施。放送期間10年以上のバラエティー番組のうち、「これからも続いてほしいと思う番組」と「なぜ続いているのか分からない番組」をそれぞれ聞いた。
投票は6月7日に開始し、11日20時時点で集まった票数(「これからも続いてほしいと思う番組」は4923件、「なぜ続いているのか分からない番組」は3064件)を集計した。
大御所芸人が存在感...「続いてほしいと思う番組」
それでは「これからも続いてほしいと思う番組」から見ていきたいが、はじめに、お伝えしなければいけないことがある。投票期間中、ツイッター上では特定タレントのファンとみられるユーザー間でアンケートが拡散。この影響が投票結果にも及んだ可能性がある。
そのうえで、1位と2位を同時に見てみよう。1位は「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」(1431票、TBS系、01年~、以下:金スマ)、2位は「ザ!世界仰天ニュース」(1184票、日本テレビ系、01年~、以下:仰天ニュース)だった。
いずれも中居正広さんが司会を務めている。「金スマ」は芸能人の人生を再現VTRなどで振り返る企画が人気。「仰天ニュース」は世界の事件をドキュメンタリー形式の再現VTRで紹介する番組だ。ただ、この2番組だけで全体の半数を超える票数が集まっており、熱心なファンの存在がうかがえる結果となった。
この2番組に続いたのが、「鶴瓶の家族に乾杯」(318票)だった。笑福亭鶴瓶さんとゲストが日本各地の街を歩き、人々のぬくもりに触れる旅番組だ。さだまさしさんが歌う主題歌「Birthday」も印象に残る。
4位は所ジョージさんが司会、ビートたけしさんが「スペシャルパネリスト」を務める「世界まる見え!テレビ特捜部」(257票)。世界各国のテレビ番組を和訳して紹介する番組で、昨年、放送30周年を迎えた。5位はタモリさんが地理や歴史の専門家と一緒に街を歩く「ブラタモリ」(170票、NHK総合、2008~)だった。
鶴瓶さん、所さん、たけしさん、タモリさんといった大御所の出演番組が存在感を発揮した今回のランキング。そうした中、まだ40代と若い中居さんの番組が支持を集めたことは、バラエティー番組の将来像に示唆を与えるものとなったかもしれない。
コンセプト逸脱に違和感?「なぜ続いているのか分からない番組」
ここからは「なぜ続いているのか分からない番組」を見ていこう。
1位は明石家さんまさんMCのトーク番組「踊る!さんま御殿!!」(617票、日本テレビ系、1997年~)だった。あるテーマをもとに集まった芸能人たちがトークを繰り広げ、さんまさんがツッコミを入れるという構図が特徴的だ。そして2位も、さんまさんMCの「ホンマでっか!?TV」(279票、フジテレビ系、09年~)。こちらは脳科学や環境学、経済学など様々な分野の専門家たちが、それぞれ持ち寄った知識を披露する番組だ。
お笑いBIG3(たけしさん、タモリさん、さんまさん)の一人に名を連ねるさんまさん。今回の調査においては、ほか2人と対照的な結果になってしまったようだ。
3位は「幸せ!ボンビーガール」(249票、日本テレビ系、11年~)だった。その名の通り、貧乏でも幸せな人生を目指す女性たちの暮らしぶりを伝える番組だ。ただ、ことし2月からは貧乏な男女の恋愛関係を追った企画「幸せ!ボンビーLOVE」をスタート。これにはネット上で「迷走している」という声も聞かれている。
4位は「行列のできる法律相談所」(150票、日本テレビ系、02年~)。もとは島田紳助さんを司会に、スタジオの弁護士たちが日常の法的トラブルについて議論を繰り広げるという番組内容だった。しかし、番組は次第にトークバラエティとしての色を強めていき、「法律番組」としての存在感は低下。11年の島田さんの芸能界引退後はMCが交代制となるなど「番組の顔」が定まらない状況が続いている。
5位は「人生が変わる1分間の深イイ話」(133票、日本テレビ系、08年~)。当初は1分間のVTRを見たスタジオの出演者が「心のレバー」を操作。「深イイ」と思ったか「う~ん」と思ったかを判定する、という内容だった。ただ、VTRを1分で紹介するというフォーマットは早々に崩壊。今では芸能人などの「密着映像」を放送する機会が多くなっている。11年までは島田さんが「スペシャルコメンテーター」を務めていた。
3位~5位はいずれも日本テレビの番組。いずれも番組本来のコンセプトを逸脱するような放送内容が目立っており、その違和感を読者は感じ取ったのかもしれない。