立憲民主党の枝野幸男代表は2021年6月11日に東京・丸の内の日本外国特派員協会で開いた記者会見で、東京五輪・パラリンピックについて、1年延期するか中止すべきとの考えを示した。このまま開催すれば、これまで感染者数が最も多かった「第3波」を超える規模で「国内における感染の爆発を生じる恐れが非常に高い」ためだ。
東京五輪は7月23日の開幕まで50日を切っており、「もう引き返せない」との見方も浮上する。枝野氏は、日本が持つ出入国管理の権限を行使すれば制度上は中止も可能だとして、それを盾に国際オリンピック委員会(IOC)に交渉を迫るべきだと主張した。
第3波を超える「感染爆発を生じる恐れが非常に高い」
枝野氏は、
「参加される選手・コーチなどに限れば、様々な対策が一定の効果をあげることが期待できるかもしれない」
とする一方で、(1)海外から数万人規模の入国が予想される(2)国内でも人の流れが増える(3)夏休みと重なる(4)半年にわたる自粛生活の反動が起きる、といった可能性に言及しながら、大規模な感染爆発が起こるリスクを指摘した。
「このまま開催すれば、8~9月に、国内的に、今までの第3波が一番高い感染の山だったと思うが、それを超えるような国内における感染の爆発を生じる恐れが非常に高いと言わざるを得ないと思っている」
出入国を止めれば五輪も「強引にでも止めることは可能」
その上で、次のように述べ、21年夏の開催は断念すべきだとした。
「従って、日本の国民の命と暮らしを守るという責任を負っている日本のリーダーの責任としては、選手の皆さんのことを考えると、何とか開催をしたい気持ちは山々だが、ワクチンの効果が間違いなく現れることが期待される1年延期か中止か、という選択を、IOCとの間で交渉すべきである、と言わざるを得ない」
実現可能性に関する質問も出た。「現段階で五輪の開催を止めることは可能なのか」とい問題だ。枝野氏は、出入国管理の権限を行使すれば制度上は可能だと主張した。
「制度的に言えば、日本の出入国の権限は日本政府が持っているわけだから、それを止めてしまえば、強引にでも止めることは可能。従って、その権限を背景にしてIOCと交渉するということであれば、まだ間に合うと思う」
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)