女性向けスマホゲーム「ドラッグ王子とマトリ姫(略称・ドラマト)」とコラボして販売されたパンにカビが生えていたと、ツイッターで写真投稿が相次ぎ、ゲーム運営会社「coly」(東京都港区)などが事実確認に乗り出したことが分かった。
このパンは、ゲームの公式ツイッターなどで販売中止が告知されたが、その理由については触れていなかった。なぜ食べないよう注意喚起しないのか疑問も出ているが、colyは取材に「不確定な情報を流せば、いたずらに不安を煽りかねないと考えた」と説明している。
半分食べてしまった、食べた後にお腹を壊した、といった投稿も
ベーコンとジャガイモを入れて作ったパンは、見た目はおいしそうだ。しかし、その表面をよく見ると、青いカビのような斑点がいくつか出ている。
ツイッターでは、2021年6月8日ごろから、こんな写真が次々に投稿された。
これらのパンは、東京都千代田区内の有楽町マルイで5日から行われているドラマトのイベントで販売されていたという。消費期限前にカビが見つかったとの声が複数出たほか、半分食べてしまった、食べた後にお腹を壊した、といった投稿もあり、波紋が広がった。
パンは、品川区内のパン製造業者が手がけ、ほかに抹茶クリームを使ったものなど計4個がドラマトのキャラが描かれたボックスに入っていた。有楽町マルイのイベントスペース限定の販売で、税込1800円だった。
その後、9日になって、丸井やドラマトの公式ツイッターで、このパンが一度販売中止になったと告げられ、突然の案内をお詫びした。
これに対し、ツイッター上では、この告知が販売中止の理由などに触れていないことに疑問も相次いだ。「説明どころか調査中ですのひとことすらない」「食べないでって注意喚起しなきゃだと思うんだけど」といった声が寄せられている。
すると、10日になって、丸井やドラマトのツイッターは、販売中止のことで心配と不安を与えたと謝罪するとともに、事実確認と詳細調査をしていると説明し、調査結果を改めて報告したいとした。丸井のツイッターでは、心配な人は有楽町マルイに問い合わせるよう呼びかけている。
販売を委託した丸井を通じて、保健所へ調査を依頼
パンの販売を中止したことについて、東証マザーズ上場のゲーム運営会社「coly」の管理部長は6月10日、J-CASTニュースの取材に対し、ツイッター上でカビが生えていたとの報告がいくつかあったことを認めた。
なぜそのことに触れなかったのかについては、こう説明した。
「事実確認をしたうえでないと、いたずらに不安を煽ることにもなりかねないので、不確定な情報は流せないと考えました」
パンにカビが生えていたとの情報は、8日に把握したというが、事実がはっきりしないため対応が難しく、万一に備え9日になって販売中止に踏み切ったとした。
同社には、食べてお腹が痛くなったといった報告のほか、イベントの管理体制への意見など、数件の連絡が来ているという。
販売を委託した丸井を通じて、管理体制に問題がなかったか8日に保健所へ調査を依頼したとし、今後は保健所の指導になるとしている。
パンの消費期限は、梅雨の季節を考えて、通常より短くしたという。添加物を入れていないため、高温・多湿を避けて保存し、早めに食べるようボックスに注意書きを入れていたともしている。
パンの回収については、丸井がツイートで問い合わせるよう呼びかけているとだけ説明し、医療費などを負担するかどうかは、現段階では決めておらず、問い合わせに真摯に対応すると話している。
丸井グループの広報室は10日、取材に対し、アニメ事業部が事実の確認を進めているとし、確認が取れ次第、有楽町マルイの公式サイトで説明すると答えた。
パン業者の製造所がある品川区保健所の生活衛生課長は同日、製造所の担当者が丸井と相談して、この日のうちに来たことを取材に明らかにした。
「ツイッターで写真を見たが、現物はまだ手元に届いていないと説明していました。パンの焦げのようにも見え、カビかどうかは確認できていないとのことです。異物混入などは製造者の責任で、製造者が検査機関に出して調べてもらうことになると思います」
保健所では、11日にパンの製造所に行き、衛生管理の基準を守っているか確認するとした。その場で問題が見つかれば指導するといい、検査結果が出て相談に来たら改めて対応したいとしている。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)