沖縄戦の悲劇的象徴のひとつ、「ひめゆりの塔」がある「ひめゆり平和祈念資料館」(沖縄県糸満市)が経営の危機に直面している。同館が2021年6月6日午前にツイッター上で窮状を訴えるとともに寄付を募ると、投稿は約1万5000件のリツイート(8日13時時点)がされ、同館が利用している寄付サイト「Syncable(シンカブル)」には4990件、1750万円の寄付(7日17時半時点)が集まった。
「ひめゆり平和祈念資料館」は当時13~19歳で構成された看護の女子学徒隊「ひめゆり部隊」の戦争体験を伝える民間の博物館だ。投稿をめぐっての葛藤や現状をJ-CASTニュースが取材した。
「前年比86%の減少で6万6532人」
「【ご寄付のお願い】感染症による影響の長期化で、当館は経営上の危機に直面しています。昨年度は入館者が前年比86%減となりました。民間で、入館料収入によって運営してきた当館にとって大変苦しい状況となりました。どうかご無理のない範囲でご寄付いただけますと幸いです」
ひめゆり平和祈念資料館はツイッターで6日、こう寄付を呼びかけた。現在「ひめゆり平和祈念財団」が運営する同館は、ひめゆり部隊に所属していた沖縄師範学校女子部と県立第一女学校の同窓会「ひめゆり同窓会」が設立した博物館で、公的な資金を得ずに経営してきた。そのため、経営費用の多くは入場料で賄っている。7日の取材に応じた職員によると、2019年度の経営費用は約1億4000万円だという。
しかし、新型コロナウイルス禍において来館者が激減、19年度には49万1345人が訪れたが、20年度は前年比86%の減少で6万6532人となった。同館には観光旅行の際に訪れる人だけでなく、平和学習の一環として訪れる県外の修学旅行生も多い。職員は以下のように話した。
「修学旅行で利用する学生は同年代の学徒の体験なのでよく響いていると感じます。実際に『今自分がその状況にいたらどうしただろう...と考えるきっかけになった』との声も多くいただいています。しかし、修学旅行生は4、5月が多く、昨年はコロナの影響で休校措置で動けずに、直前で来られなくなってしまったところが多かったです。10月の利用も多いため10月に延期していただいた学校もありましたが、結局キャンセルになってしまったりで、例年に比べると10%程度の利用にとどまりました」