日本航空(JAL)が自社機でパリ便とロンドン便の運航を始めてから2021年6月6日で丸60年を迎えた。この日、羽田空港からパリ行きのJL45便とロンドン行きのJL43便が続けて出発。出発前にはそれぞれの便で記念式典が行われ、機長が路線への思いを語ったり、就航時の制服に身を包んだ客室乗務員(CA)らが乗客を見送ったりした。
それぞれの便は244人乗りのボーイング777-300ER型機、195人乗りのボーイング787-9型機で運航されているが、実際に搭乗した乗客は43人と27人。パリ便には、ブラインドサッカーの国際大会に出場したフランス代表団も搭乗した。歴史ある路線も搭乗率20%未満の厳しい状況が続いており、JALではワクチン接種が進めば「お客さまのマインドも変わってくると思う」と期待を寄せている。
DC-8でアンカレジ、コペンハーゲンを経由
東京とパリやロンドンを結ぶ路線の開設は、フランスや英国の航空会社の方が早かった。ブリティッシュ・エアウェイズの前身にあたる英国海外航空(BOAC)が英国-香港路線を延長する形で1948年3月に岩国(山口県)、同年11月に東京に乗り入れた。エールフランスは52年11月にパリ-東京線を開設。当時はベイルート、カラチ、サイゴン(現・ホーチミン)の3都市を経由していた。
JALがパリ線に参入したのは60年。アンカレジ、ハンブルクを経由するエールフランス便の座席の一部をJALが販売する「共同運航」という形だ。翌61年の6月6日に、自社の飛行機によるパリ便が開設された。「東京→アンカレジ→コペンハーゲン→ロンドン→パリ→コペンハーゲン→アンカレジ→東京」の「北回りヨーロッパ線」で、DC-8型機で週2便が飛んだ。