まるでセグウェイ!すいすい動く「ねこ車」に業界熱視線 下町ベンチャーが開発、みかん農家でのバイト経験から考案

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ユーザーとともに「不整地」を切り開く

   E-Cat Kitを開発した背景について、寺嶋さんはこう述べる。

「私は和歌山県の有田という日本一のみかん産地の出身です。中学から高等専門学校にかけては、みかん農園でアルバイトしておりました。その時の経験をもとにE-Cat Kitを開発しました。
山の傾斜部の運搬作業の苦労や重量物を積んだ状態での悪路での転倒、これを解決できるものを作りたいと高専時代から開発に着手しておりました」

   自身の経験をもとに「欲しい」と思ったものを開発しているという寺嶋さん。新潟県の長岡技術科学大学に3年次編入した際には、クローラ(キャタピラ)の技術を用いて雪上を進む乗り物の開発なども行っていたという。通学する中で、雪国の移動手段の少なさを実感したためだ。

雪の上を移動できる乗り物も開発
雪の上を移動できる乗り物も開発

   こうした経験から、現在は「不整地のパイオニア」となるべく"不整地産業"の課題解決に取り組んでいる。

「不整地産業は同じ業種でも同じやり方はありません、季節ごとによって作業内容が大きく異なります。そう言った際に完成品された製品ではなくユーザー自身が不整地環境で利用できるガチな『レゴ』のようなものがあればよりよい社会への貢献ができると考え、不整地産業に着目しました」
ブロック玩具の『レゴ』のように、ユーザーが必要だと感じたものを自分で作り上げられる道具を提供することを使命とし、「今後も多くの不整地での問題や環境を解決したい」と意気込む。

   「レゴ」のような商品は、開発し販売したら終わりではない。寺嶋さんは、ユーザーもまた「開発者」であると考えている。

「身勝手かもしれませんが、購入してくれたユーザーの皆さんも同士、開発者だと思っています。ユーザーがそれぞれの目的・用途に合わせて、新たなものを生み出していくことを期待しております」

   CuboRexは、フェイスブック上にE-Cat Kit購入者を中心としたグループを作成し、ユーザーと頻繁に情報交換を行っている。グループのメンバーは500人を超え、商品をどう用いているか、どうカスタマイズしたのかといった報告や相談、新たな商品への要望などが寄せられている。

   これによればE-Cat Kitは現在、主にみかん農家で活躍しているようだ。このほか墓地の掃除、害獣駆除や養蜂、建設など様々な現場でも用いられている。中には三輪車にキットを装着し、雪国を駆け抜ける様子を投稿する人もいた。こうしたユーザーの豊かな発想を見て、寺嶋さんたちは製品の改良や新製品開発の参考にしている。

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