リアルな展示会を存続させたいという想い
久野さんは、東京都に対しイベント中止に伴う損失額の補償を約50%まで引き上げることを望んでいる。
「現在発表されている緊急事態宣言発令に伴うイベント中止によって発生した損失に対する国の補償は最大2500万円であり、適用される対象も限られています。不十分な部分については東京都が補償を行うことがのぞましいと私たちは考えています。イベント開催が難しい状況が続き、補償もないとなると失業者が増え、業界自体が潰れてしまいます」
久野さんは、イベントの年間経済波及効果は7500億円以上にものぼり、約5万人の雇用を生み出していると訴える。イベントが開催されないことで、イベントの人材派遣会社や警備会社、施工会社、造作業者、ケータリング会社などの関連業や、会場周囲の飲食店やコンビニエンスストア、交通機関、宿泊企業など多様な産業に影響が出るのではないかと危惧している。
久野さんら会見出席者はこの会見後、署名提出までの間にJ-CASTニュースの追加取材に応じた。
昨今はオンラインイベントも注目されてきているがその実情について、久野さんはオンライン化が厳しい分野もあると語る。
「オンラインで収益を上げている企業は、以前から準備をしていたようなオンラインとの親和性が高いところです。リアルの転換で収益を上げているのではなく、元からやっていたものの需要が高まったものとみています。
雑貨や化粧品、ハードウェアなど直接見ないと分からないものについてはリアルに対する期待が大きく、オンライン化が進みにくい分野です。リアル展示会再開への要望も大きいです」
また一般社団法人日本ホビー協会事務局員の足立浩さんは、イベントは産業の起点であるとし、その開催意義を語った。
「業種や業態が変わったとしても、イベントは新しいものを知ってもらう、人々のつながりができる、産業の起点ともなる場所です。次の購買を作るきっかけの場となります。1社が発表するのではなく、いろんなコンテンツが一か所に集まって個人も企業も一緒に学び合える場所です。別の表現で言えば『シェア』できる場所です。
しかしこうした状況が続けば、出展者のマインドも冷え込んでしまい、来場者も減って悪い循環になってしまいます。日本ホビーショーだけでなく産業全体がしぼんでいってしまうのではないかと危惧しています」