俳優の吉沢亮さんが主演を務めるNHK大河ドラマ「青天を衝け」の第16話が、2021年5月30日に放送され、徳川慶喜役を務める俳優の草彅剛さんが見せた迫真の演技に反響があがっている。
栄一の恩人・円四郎の暗殺
大河ドラマ60作目。主人公は「日本資本主義の父」こと新一万円札の顔としても注目される実業家・渋沢栄一で、2015年後期朝ドラ「あさが来た」で知られる脚本家・大森美香さんのオリジナル作品となる。幕末から明治と、時代の大渦に翻弄され挫折を繰り返しながらも、近代日本のあるべき姿を追い続けた生涯をエネルギッシュに描く。
第16話「恩人暗殺」で、栄一と幼馴染の喜作は、一橋家の兵を募るべく関東へ出向く。一方、京都では、土方歳三(町田啓太さん)率いる「新選組」が、攘夷派の志士が集う「池田屋」を襲撃する事件が発生。これによって、攘夷派たちは朝廷を警護する「禁裏御守衛総督」の慶喜、ひいてはその側近の平岡円四郎に怒りを向け、暗殺計画が浮上する。
ある雨の日、円四郎は慶喜に対し、「この緩んできた世を再びまとめあげるのは殿しかおらぬ」「この平岡円四郎が尽未来際どこまでもお供つかまつりまする」と、慶喜への忠誠を改めて表すと、円四郎らしくない固い口調に互いに笑いあう。
その後、円四郎は、攘夷派である水戸の志士たちに襲撃され落命してしまう。死の知らせを聞いた慶喜は、運ばれてきた円四郎の亡骸にゆっくりと近づき、次第に眉をひそめて、「円四郎よ...」とポツリ。雨など構わず、「尽未来際と、申したではないか...」「どうして...」と慟哭するシーンは約1分流れ、将来を分かち合った円四郎の無念の死を悼むのだった。
「ここまで泣かせるシーンを大河で観た記憶がない」
慶喜といえば、第9話で実の父・斉昭(竹中直人さん)が亡くなった際も、父を想う気持ちや、親の死に目にも会えない当時のやりきれない状況に涙。突然の訃報に言葉を失ってから、父の無念を表現するまで、じっくりと慶喜だけが映し出された約20秒間は、視聴者の大きな反響を呼んでいた。
そして今回、またも相棒的存在の円四郎の死の悲しみや憤りを、迫真の演技で表現した草彅さん。ウェブサイト「シネマトゥデイ」(2021年5月30日更新)に掲載された演出・村橋直樹さんへのインタビューでは、草彅さんとは本シーンについて事前に打ち合わせをしておらず、草彅さん自身から出る感情表現に信頼を置いていることが明かされ、「草なぎさんの技術を超えた芝居が観られると思います。想像以上のものができました」と語られている。
視聴者からも、この圧巻の演技力に対し、「ここまで泣かせるシーンを大河で観た記憶がない名シーンでした、脚本の大森さんは元より草彅さんの1分を超す動揺を画面で伝えるには十分でした」「今回のキャスティングでやはりスゴイのは草彅くんだなぁ。 とくにファンではなかったですが心揺すぶられる」「草彅くんの演技がとても繊細で、良い役者さんになったなぁと僭越ながら思ったわ」「草彅慶喜にしか出来ない泣きの演技 いや、あの迫真は演技ではなかった」などと称賛する声が多くあがっている。
いつかの慶喜と円四郎。お互いがひかれあい、円四郎の妻・やすも嫉妬したほど。相思相愛凸凹コンビ。#青天を衝け#草彅剛 #堤真一#青天オフショット pic.twitter.com/lHCZMofDu6
— 【公式】大河ドラマ「青天を衝け」 (@nhk_seiten) May 31, 2021