国際オリンピック委員会(IOC)幹部らが、東京五輪・パラリンピック開催に向けて強気の発言を繰り返している。
緊急事態宣言下でも五輪を開催する意向を示したジョン・コーツ調整委員長、アルマゲドンを引き合いに出したディック・パウンド氏など、一部の幹部による発言が、国内で反発を招くケースも続いている。
玉木氏「オーストラリアで出来ますか」
スポーツ文化評論家の玉木正之氏は2021年5月30日放送の「そこまで言って委員会NP」(読売テレビ)にオンライン出演し、IOCの強硬姿勢を問題視した。
番組内では、「オリンピックは誰のもの?」と題し、東京五輪開催の可否について出演者による議論が展開された。「政治的側面」から見て一番の問題点について話題が移行すると、玉木氏は次のように語った。
「IOCの調査委員会の委員長のジョン・コーツさん、オーストラリア人ですよね。オーストラリアではひとり、ふたり感染者が出ただけで、街のロックダウンですよね今。その中でオーストラリアで出来ますかというのは聞いておくべきでしょうね」
玉木氏はさらにバッハ会長についても言及した。
ドイツ出身のバッハ会長に対して「IOCのバッハ会長に聞いてみればいいんですよ。ドイツで今年開催するとしたら、あなたやりますかと。やると言いますかね、バッハが。これから賠償やなんかがあるというのも含めた時にバッハさん、あなたドイツでやれますか?という質問はものすごく有効だと思います」と語った。
IOC最古参委員「アルマゲドン」発言に批判殺到
IOC幹部らの発言は立て続けに物議を醸している。
スポーツ各紙の報道によると、IOCのコーツ調整委員長は5月21日に緊急事態宣言下でも五輪は行われると明言。翌22日にはバッハ会長が国際ホッケー連盟のオンライン総会にビデオメッセージを寄せた際の「犠牲」発言が波紋を広げた。
バッハ会長の発言を伝えたインドのPTI通信によると、バッハ会長は「東京大会を実現するために、我々はいくつかの犠牲を払わなければならない。選手は夢を間違いなく叶えることができる」と話したという。
後日、IOCの広報担当者は、バッハ会長が「我々」としたものは「日本国民にではなく、五輪関係者、五輪運動に向けた発言」と説明し火消しに走るも不信感は完全にぬぐえず。そして25日に英紙「イブニング・スタンダード」(電子版)が報じたIOC最古参委員ディック・パウンド氏の「アルマゲドン」発言が火に油を注いだ形になった。
同紙は、東京五輪開催へ向けてのパウンド氏の見解を報じ、記事の中でパウンド氏は「前例のないアルマゲドンに見舞われない限り、東京五輪は計画通りに進むだろう」と持論を述べた。この「アルマゲドン」発言が問題視され、SNS上では批判の声が殺到した。