アイドルグループのHKT48が2021年5月29日、20年1月以来約1年4か月ぶりのコンサートを福岡県北九州市で開いた。昼夜2公演が開かれ、夜公演は1期生の森保まどかさん(23)の卒業コンサートとして行われた。
森保さんは終盤のあいさつで、メンバーや運営スタッフ、家族、ファンへの感謝の言葉を述べながら、発足直後のHKT48が「上り調子」だったことにも触れた。その上で、最近のHKT48を見ていて、当時と「近い感覚」を思い出すとも話し、後輩メンバーにエールを送った。
日韓合同ユニットIZ*ONE(アイズワン)の活動から復帰したばかりの宮脇咲良さん(23)と矢吹奈子さん(19)も、2年半ぶりにHKT48のコンサートに出演。その様子は海外向けにも配信され、海外のファンを意識した演出もあった。その様子を報じるメディアもあり、知名度アップにつながるかも今後の焦点になりそうだ。
「これからも、なれ合いじゃなくて、仲良しのグループでいてほしいなと思います」
森保さんはピアノが特技で、バラエティー番組「芸能界特技王決定戦 TEPPEN」(フジテレビ)にたびたび出演。20年には松任谷正隆氏がプロデュースしたソロピアノアルバム「私の中の私」を発売したことでも知られている。
卒業コンサートには37曲中35曲に出演した。ソロピアノアルバム収録曲「Lotus」の演奏で幕を開け、「Everyday、カチューシャ」「キスは待つしかないのでしょうか?」といったAKB48やHKT48のシングル曲を次々に披露。終盤には、森保さんら1期生がデビュー時の劇場公演の表題曲「手をつなぎながら」を、当時のチェック柄の衣装でパフォーマンスし、ファンを沸かせた。
決して自己主張が強いタイプではなかった森保さんだが、ソロアルバムの実現など、その活動ぶりに芯の強さを感じるファンも多かった。終盤のあいさつでも、メンバーに対して「これからも、なれ合いじゃなくて、仲良しのグループでいてほしいなと思います」と呼びかけ、その一端をうかがわせた。
今後のグループに対する期待も口にした。森保さんは10年間の活動の中で、AKB48の5大ドームツアー(13年)出演、NHK紅白歌合戦の単独出場(14年)やミュージックステーション(テレビ朝日)など数々の歌番組への出演、海外公演など「今考えると、輝かしいなって思う思い出」が多くあったことに触れながら、こういった「右肩上がりで上り調子になっていくな、という自分の感覚」が「確かに自分の体に刻まれていたのかな」とも話した。
そして、最近のHKT48に当時の感覚を思い出すとも説明した。
「それからね、紆余曲折じゃないけど、浮き沈みはあるんですけども、最近の HKT48を見ていると、それに近い感覚をすごく私は思い出すんですね」
その理由は後輩メンバーの層の厚さだ。新曲「君とどこかへ行きたい」(5月12日発売)は、先輩メンバーの「つばめ選抜」、後輩メンバーの「みずほ選抜」の2チームに分かれて同じ楽曲を披露するのが特徴。森保さんはこの点について、次のように話した。
「例えば若手選抜、みずほ選抜を作れちゃうくらい将来有望なメンバーたちが沢山いて、エース級のメンバーも沢山ごろごろいて...。たとえ現状、選抜ではない子たちも、自分の武器を見つけて広げていこうという風に努力していて、それぞれが個人の仕事をどんどん獲得していく感じが、とっても私は頼もしいです」
昼公演では、矢吹さんがソロ曲「いじわるチュー」を歌ったのに続いて、「生意気リップス」を田中美久さん(19)と披露。「なこみく」コンビに復活を印象づけた。
さらに、この1年はコロナ禍で活動が制限される一方で、メンバーの新しい活躍の場が開拓される機会も多かった。20年10月~21年2月には、オンライン演劇プロジェクト「HKT48、劇団はじめます。 」(劇はじ)にも挑戦。普段は「選抜メンバー」ではなく、必ずしも目立たないメンバーを含めて、役者はもちろん、企画、脚本、演出、宣伝など「裏方」の仕事にも取り組んだ。森保さんが言及した「個人の仕事」は、田島芽瑠さん(21)、神志那結衣さん(23)、豊永阿紀さん(21)らが、グループの活動とは直接関係ないオンライン演劇やミュージカルで活躍していることを指しているとみられる。
21年6月に卒業を控える宮脇さんも、ラジオ番組で新曲を紹介する中で「HKTの未来って明るい」と話している。2人の1期生が、後輩の成長を見届けてグループを去ることになる。