ダービー制覇と続く挑戦
一方、桜花賞の1週間後に行われた皐月賞は7番人気ヴィクトリーがうまく逃げ切って1着、15番人気サンツェッペリンが2着という大波乱が起きた。しかし着差は2着ハナ差、3着ハナ差の大激戦。3歳牡馬クラシック路線は「どの馬が一番強いのか」が皐月賞では判断できない状況だったのである。
そこに桜花賞2着馬ウオッカの参戦。当時の競馬ファンは悩みに悩んでダービーを迎えることになってしまった。ダービーでのウオッカは3番人気、当時悩んだ末に私はウオッカの単勝を握ってレースを迎えたのである。結果、道中11番手から最速上がりを出してウオッカが2着に3馬身差をつけて勝ち、64年ぶりとなるダービーの牝馬優勝が達成された。
一方、オークスは...なんとダイワスカーレットが感冒で回避。桜花賞では4着だったローブデコルテが5番人気で優勝し、ここまでのクラシック路線G1勝ち馬が全てバラバラになってしまう状態になったのである。
2007年は競馬界全体で常識が通用しない空気が流れていた。その中心だったウオッカのダービー挑戦・制覇は強烈なインパクトだったわけだが、彼女の挑戦はこれだけでは終わらなかった。
なんと、3歳で宝塚記念に挑戦したのである。結果は8着だったが、成長期である3歳春に古馬との混合G1に挑戦することは話題となり、1番人気に推されていた。さらに次は凱旋門賞を目指すと表明するが右後肢の蹄球炎で回避、幸い重症化せず秋華賞に目標を変えたことでダイワスカーレットとの再戦が実現。この対ダイワスカーレット3戦目、ぶっつけ本番だった影響もあったのか位置取りは15番手からとなり、2番手から3コーナーで差して勝利したダイワスカーレットに届かず3着に終わる。
次は古馬を交えた牝馬最強決定戦、エリザベス女王杯でダイワスカーレットと4度目の対決、となるはずだったが当日朝、ウオッカは跛行のため出走取消。しかし勝者はまたもダイワスカーレット。この世代の牝馬が最強であることを証明したのである。