筆者は、2021年5月17日に自衛隊による新型コロナウイルスワクチン大規模接種センターの予約を取っている。その前週にワクチン接種券が届いており、地元のかかりつけ医に予約したがとれなかったので、自衛隊の大規模接種センターにネットで予約した。
混雑しているかと思ったが意外とすんなり予約できた。予約の際、接種券に書かれている自治体コード、接種券番号、生年月日の入力と地元自治体で予約を取っていないことの確認だけの簡単な方法で予約する方式だ。
すべてで小一時間ほど
25日に1回目のワクチン接種を行った。8時からの予約だったので、7時半に大手町の大規模接種センター会場に行った。入口で検温し正常体温だったので入場できた。
はじめに持参した接種券を確認してもらった。その場で、色つきのクリアファイルを渡され、その中に接種券、予診票を入れた。筆者の場合、黄色のクリアファイルだったが、他に赤、緑、青の4色だった。色ごとに接種会場の階が異なっているようだった。クリアファイルの色と同じ矢印が廊下に描かれており、同じ色の順路を進む。途中で、接種会場の人数調整だと思うが、時間調整のために待機場所もあり、そこの椅子で小休止もあった。
係員の指示通りに動き、予め書き込んだ予診票を看護師にチェックしてもらい、医師の簡単な質問に答える。医師からは、接種後15分待機をいわれ、その時間が書き込まれた紙をもらう。待機時間は人によって異なり、15分、30分、その他に分かれていた。ここまでで小休止を含めて30分程度だ。
いよいよ看護師にワクチン接種をしてもらう。筆者の左腕に打ってもらったが、あっという間だった。筆者はこれまで毎年インフルエンザの予防接種を受けており、それとほぼ同じだ。その後、15分以上待機して、次の2回目の予約をとって終了だ。すべてで小一時間ほどだった。
医師、看護師は極めてテキパキしていた。いつものことだが、筆者の副反応は何もでていない。
大手町はビジネス街で普段は若いビジネスマンばかりだが、今は多くの高齢者が歩くという変わった風景になっている。
今のペースなら、2ヶ月後には100人当たり40回程度の接種回数に
大規模接種開始で、日本のワクチン接種が加速し、これで1日60万人程度が可能だ。5月24日現在で、ワクチン接種回数は100人当たり7.5回だが、今のペースなら、2ヶ月後に40回程度になる。
G7諸国の場合、これまで、ワクチン接種が新型コロナ感染率の改善に堅調に貢献してきた。新たな波が来ないと、40回接種時の新規感染率は当初ピークの75~90%減程度になる。新たな波が来ても25~50%減程度だ。
これを単純に日本に当てはめると、新規感染者数の直近ピーク時は5月10日前後の100万人あたり約50人(全国で約6000人)であるので、新たな波が来ないと、100万人当たり約5~12人(全国で約600~1500人)になるだろう。
もし新たな波が来ても、100万人当たり約25~38人(全国で約3000~4500人)だろう。新たな波が来ないと劇的な改善になり、もし新たな波が来ても、いったんは多少悪化するが、2ヶ月後には今より悪くはならないだろう。
このレベルであれば、今回引き上げられた米国の日本への渡航警戒レベルも解除されているだろう。仮に新規感染者の数は改善が少なくても、重症患者の数はかなり減少するだろう。
いずれにしても、ワクチンが今のペースでスムーズに接種できれば、五輪も景気回復も大いに期待できる。
++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣官房参与、元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。20年から内閣官房参与(経済・財政政策担当)。21年に辞職。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「国民はこうして騙される」(徳間書店)、「マスコミと官僚の『無知』と『悪意』」(産経新聞出版)など。