2021年5月26日夜、日本では2018年以来3年ぶりの皆既月食が観測される。20時11分頃から26分頃までの約15分間に発生すると予測され、26日夜の天候は本州・四国・北海道ではおおむね晴れ、九州・沖縄では雲が多いとの予報である。
天候は悪くなく、観測日和となることが予想されるが、今回の皆既月食は、月が地球に近づいて大きく見える「スーパームーン」と重なった珍しい現象となる。だがそもそもなぜ、このような現象が起きるのか。
月は楕円軌道で公転する
「スーパームーン」とは、一般的には1年のうち最も地球に接近した満月のことを言い、満月が大きく見える現象を指すが、実は学術的な用語ではないそうだ。天文関係の雑誌「星ナビ」編集部も25日の取材に、「学術的に定義されたものではなくて、地球と月の距離が最も近くなる満月をそう呼んでいるにとどまります」と答えている。
月は楕円軌道を描いて地球の周囲を公転している。したがって地球と月の距離は一定ではないが、最短となる満月を「スーパームーン」と一般に呼んでいる。
国立天文台の観測によると、2021年に地球から最も遠い満月の日は12月19日で距離は約40万6000キロ、5月26日にはこの距離は約35万7000キロになると予測される。この距離差で、大きく見える月を「スーパームーン」と呼ぶようになったようだ。
月が「赤く見える」理由
5月26日の皆既月食は、「レッドスーパームーン」とも呼ばれる。もともとスーパームーンにあたる上に、地球の影に入った月が赤く見えることからこう呼ばれる。なぜ赤く見えるかというと、国立天文台のウェブサイトによれば、太陽光が地球の大気によって屈折すると、波長の短い光は拡散されてしまうが、波長の長い赤い光が地球を通過して月に降り注ぐ。地球の影に入った月は、地球の大気を通過した赤い光を多く浴びるため、皆既月食の時の月は赤く見えるというわけだ。
5月26日の次に皆既月食が日本で観測できるのは2022年11月8日だが、スーパームーンと重なる皆既月食は2033年10月8日である。次の「スーパーレッドムーン」が日本で観測できるのは12年後という貴重な機会だ。