姉妹グループ参加は2008年「大声ダイヤモンド」から始まった
AKB48のシングルに姉妹グループメンバーが参加するようになったのは「大声ダイヤモンド」(08年10月発売)にSKE48の松井珠理奈さん(24)が抜擢されてから。12年にHKT48に移籍した指原さんや、NMB48に所属していた山本彩さん(27)ら姉妹グループの人気メンバーがAKB48のシングルに参加することで、AKB48の人気を下支えする効果があった。さらに、姉妹グループのメンバーは、自分のグループの握手会以外にも、AKB48のシングル発売を機に行われる握手会にも参加。姉妹グループのファンが、姉妹グループの「推しメン」との握手を目的にAKB48のシングルを買い支えていた面もあった。
一方で、デビューしてから日が浅く、これからの活躍が期待できる姉妹グループのメンバーがAKB48のシングルに参加することもあった。AKB48の楽曲の方が姉妹グループよりも歌番組などメディアに露出する機会が多いため、姉妹グループのメンバーとしては、AKB48のシングルに参加することで知名度が上がることも期待できた。
このように、AKB48のシングルに姉妹グループのメンバーが参加する方式は双方にとって利益があると言えたが、AKB48のメンバーは複雑な思いを抱いていた。特に渡辺麻友さんの卒業シングル「11月のアンクレット」(17年11月発売)では、選抜メンバーの28人のうちAKB48は12人で「過半数割れ」。メンバーからはSNSで公然と不満が噴き出した。
複雑な思いを持っていたのは向井地さんも同様で、17年6月の選抜総選挙開票イベントのスピーチでは、姉妹グループへの感謝の言葉を口にした上で
「やっぱりAKBが48(グループ)の中でいつまでも1番であり続けたいという想いは変わらないので、必ずAKBを私が引っ張っていきたいと思います。AKB48はAKB48のものなんだと、誰にも渡さないと!そう、宣言したいです」
と訴えていた。向井地さんにとって「AKB48で」新曲を出すことは悲願だったわけだ。