初見の感想がバズる理由
では、なぜみんな「初見の感想」が大好きなんでしょうか。これまで作られたまとめとその反応をもとに、4つの理由を分析してみました。
(1)新鮮な目線がおもしろい
多くの人に観られ、たくさん語られたことのある作品であればあるほど、「手垢のついていない感想」は貴重なもの。不朽の名作をイマドキの若者が新鮮に解釈するなど、時間を経ているからこそ得られる発見で新たな魅力に気づくことがあります。
(2)「ミリしら」的な認識のズレが化学反応を起こす
「ミリしら」とは「1ミリも知らない」の略。Twitterでは、知らない作品のキャラクター情報をおもしろおかしく推測する遊びの意味で使われています。
<鬼滅の刃ミリしらを作ってからアニメ見たらめちゃくちゃ面白かった話 - Togetter>
このように「内容を知らない人が断片的な情報だけで推測すること」そのものがコンテンツになりうるのですが、名作は名作ゆえに観たことがなくてもそれなりに情報が入ってくるもの。
その結果、「見たことないんだけど、なんとなく知っている」という状態が発生し、さらに他の作品と混ざったり勘違いをしたりして脳内で「実際には存在しない作品」が勝手にできあがることも。その状態の人が本当の作品を観た時の反応は、他では味わうことができないおもしろさがあります。
(3)「衝撃の展開」への反応が楽しめる
初見の新鮮な悲鳴はオタクの養分。序盤はほのぼのとした雰囲気だったのに途中からハードなシリアス展開になる作品や、驚きのどんでん返しが待っている作品などは、すでに観て展開を知っている人たちにとっては初見の反応をほくそ笑みながら見物する楽しみがあります。
(4)「良かった!」でも「悪かった!」でも話が膨らむ
名作すぎると「この監督はあの作品と同じ人で......」「アングルが......」「演出が......」といった技巧的な話や、あるいは「アカデミー賞受賞して......」「実は作品の背景にはこんな苦労が......」といった本編とはあまり関係のない話に発展しがちで、シンプルに「おもしろいかおもしろくないか」といった次元で語る機会が少なくなります。
初見の人はそんなことお構いなしに「おもしろかったー!」とか「全然つまらなかった!」とか言ってくれるので、改めて新鮮な気持ちで語ったり議論をしたりできるのです。