「頒布する場所は僕らが用意するので、ぜひ一緒に頑張りましょう」
――赤桐さんがイベントを開催し続ける意義についてお聞かせいただけますか。
「それについて本当は、僕らが言ってはいけないことだと思っていて。なぜなら、例えば家族に影響を与えてはいけないなど、様々な理由で参加を見合わせている方もたくさんいらっしゃいます。それぞれの考えやそれぞれの意義があると思うので、むしろ場を預かる私たちは意義を立ててはいけないと考えております。
ただ一つ言えるのは、僕らとしてはやるしかない。イベントがなければ会社がつぶれてしまうので、選択の余地はなかった」
――同人誌即売会の今後の展望をお聞かせいただけますか
「全てのサークルの本を1冊は売れるようにしたいです。一冊も売れなかったという人が出ないように、とにかく1冊でも本が売れる仕組みを作りたいです。そのために主催としてできることに取り組んでいきます。
現在は、リアルイベントと連携した通販サービスやチャットとアバターのサービスを準備しています。オンラインとオフラインのイベントを繋げていく予定です。チャットはサークルごとにページを用意します。会場にいながらオンラインでもおしゃべりできるので、リアルな会場に来ることができなかったオンライン参加者はそこでサークルと交流し、本の頒布をサポートします」
――既存のSNSや通販サービスとの違いは何でしょうか。
「イベント感ですね。既存のサービスは結局日常のものです。非日常『イベント』限定のものにすることで人々の購買意欲や創作意欲を動かします。とてもハードルが高いですが。
あと、いま開発中のおうち通販サービス自体は無料で使える予定です。売り上げは全部作家さんに届くようにします。売り上げの手数料はいりません」
――手数料が必要ないのは、なぜでしょうか
「即売会を主催しており、同人誌の売上に対して手数料をいただく発想がありません。むしろ我々としてはタブー。また決済手数料等を取ることによって本が高くなったら、購入が抑えられてしまうところも大きい。
そもそも僕はオフラインイベントでも、本を購入しに来る一般参加者の入場料を無料にしたいと思っています。入場料がなければ買える本もあると思うからです。例えば参加費を1000円いただいてしまうと、その分約2冊分の本の購入を抑えてしまうかもしれません。来場者が5万人だったら10万冊の本が売れなくなる可能性がでます。
当日の頒布数が0冊と1冊ではサークルの気持ちは天と地の差が出ます。自分がそうでした。中でも本が売れるイベントへの参加を望みます。
だから僕らは本が手に取られる確率を最大限高めてイベントを用意する。くわえて参加者への事後のサポートにも尽くしてより確率を高めます。その参加費さえ、いただければそれで十分です。コロナが収まって大きなイベントができるようになったら、日本で最も『頒布結果0冊サークルが少ない』イベントを目指します」
――最後に読者の方々にお伝えしたいことなどがあれば、お聞かせください。
「とにかく普段通りに本を作り、買う流れをできるだけ続けてほしいです。特別なことはしなくて問題ありません。いつもやっていることをいつも通りに動いていれば、全部回ります。頒布する場所は僕らが用意するので、ぜひ一緒に頑張りましょう」