「もう限界です。助けてください」 ラーメン店の悲痛な「営業宣言」に反響...何があった?店主に聞いた

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   「もう限界かもしれません」。コロナ禍の中で、東京・荻窪のラーメン店の女性店主が、こんな言葉から始まるメッセージを店頭に掲出した。その内容がツイッターで紹介され、反響を呼んでいる。

   手書きの貼り紙は、店主の名前で店の入り口横に掲示され、この書き出しが赤っぽい字で強調されている。

  • 店頭に掲出されたメッセージに反響
    店頭に掲出されたメッセージに反響
  • 店主の山崎えつ子さん(旨辛麺 かつくに 荻窪店で)
    店主の山崎えつ子さん(旨辛麺 かつくに 荻窪店で)
  • 店頭に掲出されたメッセージに反響
  • 店主の山崎えつ子さん(旨辛麺 かつくに 荻窪店で)

「待っているだけでは潰れるだけ。限界の中でやれることを」

   それによると、店は、小池百合子都知事の休業命令で営業していなかったが、2021年5月20日から営業することになった。しかし、3月からのコロナの感染拡大防止協力金をまだもらえておらず、店主の私物で売るものもなくなったとして、こう打ち明けた。

「このままではお店も1カ月もちません。もう限界です。皆様、お客様どうかお助け下さい」

   貼り紙では、「美味しく一生懸命作ります」との部分も赤っぽい字で強調されている。ツイッターでこの写真が21日に投稿されると、15万件以上もの「いいね」が寄せられ、店主への激励の言葉が続々書き込まれている。

   この店は、看板メニューの旨辛ラーメンで知られる「旨辛麺 かつくに 荻窪店」だ。

   記者が21日に店を訪れると、15時の閉店後に、店主の山崎えつ子さん(35)が取材に応じてくれた。

   なぜ今回の貼り紙を出したかについて、山崎さんは、次のように説明した。

「本当にお金も下りませんし、家賃と光熱費などが重くて店をやっていけず、昨日から営業を再開しても、このままでは閉めるしかない状況です。待っているだけでは潰れるだけですので、限界の中でやれるところだけはやろうと貼りました」

ブランドバッグなど私物も次々に売り払って...

   山崎さんによると、店の家賃は月15万円だが、麺を長くゆでるためのガス代や洗い物をする水道代などにかなりお金がかかる。自分ともう1人で店を切り盛りしており、2人の人件費を入れれば、月に最低80万円の売り上げがないと赤字になってしまうそうだ。

   店は、初の緊急事態宣言が明けた後の2020年6月2日にオープン。「コロナに勝つ国」との願いを込めて、店名を決めた。夜は、22時までやりたかったが、時短の流れの中で20時閉店とし、客がなかなか来なくなって、オープンから3か月で夜は止めることに。

   年末まで昼だけの営業を続けたが、2回目の緊急事態宣言前から休業に入った。宣言が終わるころの3月16日に営業再開し、メニューの値下げにも踏み切ったが、今回3回目の宣言でGW前からまた休業した。

「休業前は、ラーメンが1日10杯しか売れないこともザラでしたね。やっても、赤字ばかりでした」

   家賃を支払わないと追い出されるため、私物も次々に売り払った。

「ブランドのバックとかアクセサリー、時計もありました。しょうがないですよね。1、2月分の協力金をもらって、ギリギリで家賃を支払いました。3、4月分の申請は行いましたが、まだ下りていません。独身の1人暮らしでなかったら、生活も大変だったと思いますね」

「『ツイッターで見た』と電話が3件ぐらいありました」

   5月20日に営業再開し、同時に店頭に貼り紙を出すと、それを見て客が集まった。翌21日にツイッターで話題になると、また反響があったそうだ。

「店に、『ツイッターで見た』と電話が3件ぐらいありました。三重県の人からは、『遠くてお店には行けないけど、頑張って下さい』と電話があり、励みになりましたね。ありがたいことに、今はバタバタです。ただ、JR荻窪駅前と言っても、買い物客ら人通りが少ないところです。味は自信がありますが、食べてもらえる機会が少ないので、この先どうなるかは分かりません」

   他の多くの店もコロナ禍で苦しむ中で、国や都などには、こう望みたいとした。

「コロナを抑えるために出歩くな、ということは分かります。しかし、それだけされても困ります。先が見えませんので、補償をしてから休めにしてもらえないのかと。五輪をやったらコロナが広がるかもしれないので、その実現に尽力するなら、もっと違うことにとも思っちゃいますね」

   なお、都の企画調整課によると、3月分の協力金は、8~21日が1日6万円、22~31日が同4万円で、4月30日から申請を受け付けている。審査の進捗状況は、都サイトのマイページで見られ、審査終了後に10日~2週間で協力金が支給される。支給は、まだそれほど多くないといい、事業者ベースでは、申請の20%ほどに留まっている。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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