第一三共ヘルスケアの化粧品ブランド「ブライトエイジ」をめぐり、不適切な広告が出稿されていたことがJ-CASTニュースの調べで分かった。
プロモーションを担当する同社の子会社は「深く反省しております」と取材に答え、再発防止に努めるとする。
「利用者の声」に疑問
ブライトエイジでは、化粧水、美容液、サプリメント、医薬品などエイジングケア商品を展開する。俳優の観月ありささん、本上まなみさんを広告塔に起用し、SNS上では多数の「インフルエンサー」から紹介されている。
J-CASTニュースが同ブランドの宣伝物を調べたところ、「アフィリエイト」と呼ばれる成果報酬型のネット広告で、不適切とみられる広告が複数見つかった。
例えば、「【必見】シミ・小じわにアプローチ!第一三共ヘルスケアが開発したブライトケアで輝き肌を解き放つ!」と題したページでは、女性の顔写真とともに「満足できる化粧品にようやく出会えた!という感じです」などと体験談が掲載されていた。しかし、同一の写真が画像売買サイト「スナップマート」で見つかった。
写真の女性は使用者ではない可能性があり、同サイトの規約では「被写体が特定の営業、商品若しくはサービスを利用等しているような印象を与える使用」を禁止している。
実際の広告
同一写真が画像素材サイトで見つかった(編集部で一部加工)
「シミに効く!飲み薬ランキング」と題した商品比較サイトでは、ブライトエイジの商品が1位に選ばれており、「ウッチー 47歳」と名乗る人物が「体の内側からのシミ対策にはピッタリ」などと推奨コメントを寄せていた。
調査は、クラウドソーシングサイト「ランサーズ」を通じて30~60代の女性368人に実施したと書かれているが、調査期間は「2018年7月1日~現在」と漠然としている。対象者も「シミケア商品利用者」とあり、実際に該当商品を利用しているのか判然としない。
実際の広告
広告規制に詳しい成眞海弁護士はJ-CASTニュースの取材に「アフィリエイト広告の作成に販売事業者が関与している場合、虚偽の体験談や、適切な調査がなされていないアンケート結果の表示は、景品表示法の優良誤認表示に該当する可能性がある」と答えた。
第一三共ヘルスケア「監督責任を感じている」
ブライトエイジの販売・宣伝を担当する第一三共ヘルスケアの子会社「アイム」は5月17日、取材に「ご指摘いただいた一部の広告は意図的に出稿したものではないですが、いずれも問題がございました」と非を認めた。
アフィリエイト広告は、アフィリエイターと呼ばれる広告制作者が、代理店の依頼を受けるなどして、広告主の商品を記事などで宣伝する。販売サイトへの送客数や契約数に応じて、制作者は報酬を得る。
アイムでは通常、アフィリエイターの制作物を複数の代理店がとりまとめ、自社で問題ないと判断した広告のみ出稿する。必要に応じて、広告法規に詳しい外部の専門機関にも相談している。
しかし、女性の顔写真を使った広告は代理店から事前連絡がなかったため、アイムの確認がないまま表示されていたという。「スナップマートの規定する禁止事項に該当するものでした。また、代理店が特定できず確認が取れていないのですが、(写真の人物の)体験談ではないのではと認識しており、不適切だったととらえております」
アンケートサイトの広告については、事前確認はしていたが「調査概要の不明瞭さや結果の妥当性について疑問を払しょくできない」として「深く反省しております」と答えた。
指摘を受けて代理店に問い合わせると、アンケートの募集ページは共有されたものの調査データは非開示だったという。検証ができないため現在は停止措置を取っている。
5月18日に比較サイトを閲覧すると、ブライトエイジの商品は消えていた
「今回の件を受けて、代理店との業務委託基本契約内容の見直しを図るとともに、各代理店様にルールの徹底をさせていただきます。賛同していただける代理店様とのみ取引を行い、再発防止に努めていきます」
第一三共ヘルスケア経営企画部は取材に「弊社としても監督責任を感じており、指導してまいりたい」と答えた。
消費者庁がアフィリエイト広告にメス
アフィリエイト広告をめぐっては、消費者庁が3月1日、「シミが消えるなどと表示されていたので信じて購入したが、表示されていたような効果はなかった」といった相談が消費生活センターに複数寄せられているとして、「虚偽・誇大なアフィリエイト広告によって、消費者を商品販売サイトに誘い込む手口がみられますので、十分に注意しましょう」と注意喚起している。
その2日後の3月3日には、育毛剤のアフィリエイト広告で「たった2ヶ月で髪がフサフサ」などと根拠のない効果を宣伝していたとして、消費者庁は通販会社「T.Sコーポレーション」に景品表示法違反(優良誤認)で措置命令を出した。
伊藤明子消費者庁長官は同日の会見で、
「アフィリエイト広告については、その特性として、広告の対象である商品等の販売者本人ではなく、アフィリエイターが広告を作成・掲載していることから、販売者による広告内容の審査が行き届かない可能性、また、商品の購入等があった場合にのみ報酬が発生するという仕組みであることから、アフィリエイターが報酬目当てに虚偽・誇大な広告を作成するインセンティブが働きやすい可能性がある」
と言及し、アフィリエイト広告の実態調査を進めていると明かした。
(J-CASTニュース編集部 谷本陵)