出版社の即売会支援が異例なワケ
今回のように、出版社が名前を公表して同人誌即売会に支援を行うことは非常に珍しい。
というのも一般的な同人誌即売会は、既存の商業作品をもとにした二次創作物を多数取り扱っているからだ。著者から権利を預かって守る立場である出版社とは相いれない存在、と言えるだろう。
ある出版関係者は、コミティアは頒布物をオリジナル作品に限定しているために出版社として名を挙げて支援することができたのではないかと推察する。この関係者は、社として二次創作物を取り扱う同人誌即売会を支援することは難しいが、漫画が盛り上がる「お祭りごと」の存在自体は重要視していると話した。
同人誌即売会と出版社の関係について、マンガワン編集長の和田さんは、こう私見を述べる。
「著作物を取り扱っている立場なので、二次創作のようなものは本来厳しいです。ファン活動のうちならともかく、キャラクターで収益を上げていると厳密にはだめだと言わざるを得ません。
その一方で、全ての漫画を描かれる方が自分の作品を作れる方ではありませんし、ファン活動で自分の描いたものを販売できるというのは結構大事だと思っています。そういった自由に好きなものを発表できる場があること自体が、その人の活動を続ける原動力となっていることは間違いないと思っています。
またこの場で育ってきた人々がプロの世界に飛び込んできてくれることもあります。ですから、僕としては既存の作品を使う場合は著作権者に迷惑のかからないようにうまくやってほしいと思います」