「なかった......わ」Aメロの休符に注目
◆宇多田ヒカル節にBUCHIAGARU!!
「One Last Kiss」のAメロの歌い方、言葉の切り方を聴いていて「やはり宇多田ヒカルさん、流石すぎる・・・。」と改めて思わされました。
具体的に説明しますと、「初めてのルーブルは なんてことはなかったわ」という最初のフレーズ、この歌詞を歌う時に「なかったわ」の「なかった」と「わ」の間に一瞬、休符を挟んでいるんですよね。
Aメロを通して同じ方法で歌い、最後は「a」の母音で韻を踏む、ということをやっているのですが、多分普通のシンガーさんが歌うと、そもそも「なかったわ」というフレーズも、その後の「出会ってたから」というフレーズもひと続きの言葉ですので、「なかった」と「わ」の間に休符は挟まずに、「なかったーわ」や「出会ってたかーら」と歌ってしまうと思うんですよね。
このように休符を挟んで歌うことによって、最後の「a」の韻がより強調されて気持ちよく聴くことができますし、そもそもこんなことはなかなかしないので、何が起こったの!?とリスナーを惹きつけることができます。
また、似たような歌詞の歌い方はデビュー曲の「Automatic」でも聴くことができます。
「七回目のベルで」というひと続きの言葉をAメロの最初に書いていますが、「七回目のベ」と「ルで」の間に休符を挟んで、それぞれを違うメロディのフレーズに当てており、聴いていてハッ!とさせられます。
もし同じようなことを他のシンガーがやろうとしても、宇多田さんのような独特なグルーブ感がないとダサくなっちゃうと思うので、もはや宇多田さんの専売特許だなと思います。
「One Last Kiss」は、昔からの宇多田さんの手法も、トレンドを取り入れた新しい要素も聴くことができる、ファンからしたら盛りだくさんな楽曲だなと思います。もちろん、今まで宇多田さんのことを知らなかった人には新鮮な衝撃を与える、凄まじい楽曲だなと思いました。