2021年5月某日、仕事帰りにテイクアウトで夕食を...と思い、マクドナルドに入店するとふとした変化に気が付いた。カウンターになにやら銀色に光るスピーカーのような小型の機械が設置され、「こちらに向かってお話しください」と書かれているのだ。アクリル板で隔てた向かいのレジ側には、マイクらしきものも確認できた。
いざ注文の段に入ると、これらの機器を通じて店員と会話できるようになっていた。アクリル板があってもマイクとスピーカーで互いの声がよく聞こえるため、注文のやり取りはスムーズに終えられた。いつから、なぜこうした機器を導入するようになったのか。日本マクドナルドに話を聞いた。
「注文のやり取りに不便が生じてしまったので導入」
新型コロナウイルス感染拡大により、飛沫対策で街の多くの店にアクリル板が設置された一方、「声が聞き取りづらくなった」と感じることも増えた。アクリル板のある店で対面して注文しようとすると、言葉を聞き返してしまうことがしばしばある。ツイッター上でも「アクリル板越しだと、冗談抜きで6割方聞こえない。勘で会話をしている」「アクリル板有ると声聞きづらい」などの声がよくあがる。
今回利用したマクドナルドにもアクリル板はあったが、マイクとスピーカーの小型機器によってそうした不便さはほとんど解消され、ストレスなくやり取りすることができた。コロナ禍での対策だろうか。日本マクドナルドの広報は5月14日、J-CASTニュースの取材に、今回の機器の導入理由についてこう明かした。
「カウンターにアクリル板があるので、聞き取りづらくなってしまいました。注文のやり取りに不便が生じてしまったので導入を決めました」
機器を利用する客やスタッフからも好評という。
「気づかれたお客様からは聞き取りやすくなったとのお声をいただいています。またスタッフからもオーダーが聞き取りやすくなったと聞いています」
導入を始めた時期や店舗、今後の拡大予定については次のように話している。
「2020年7月に一部の店舗でテストを実施いたしました。その後9月からは店舗の状況に応じて、希望があれば導入しています。店舗が希望した場合には今後も導入を進めていく予定です」
店舗によってはカウンターが屋外に設置されているなどの理由から、導入が難しい場合もあるとのことだ。
もともとはチケット売り場で
詳しい性能について、この機器を取り扱う放送装置等の専門店「南豆無線電機」(静岡県下田市)の営業技術担当は取材にこう明かす。
「もともとは映画館などのチケット売り場や病院の受付などの対面でやり取りをするための商品です。『ピンマイク付き窓口インターホン』で親機と親機マイク、スピーカーとマイク機能を持った子機でやり取りを可能にしています」
「もともとは」ということはやはり、コロナウイルスの影響はあったのかと尋ねると、「コロナ以前は想定していなかったお店からの注文が増えました」と答えた。