2021年5月12日朝、北海道の石狩海岸で衰弱したゴマフアザラシの赤ちゃんが発見された。発見したツイッターユーザーの「Fishing mood」さんがすぐに市役所や水族館に相談し、ゴマフアザラシは現在おたる水族館(北海道小樽市)に保護された。現在も治療を受けているという。
J-CASTニュースは当時の状況や今後について、おたる水族館とFishing moodさんに取材した。
離乳の際に餌が取れなかった可能性
ゴマフアザラシは、ベーリング海、 オホーツク海、北海道近海に生息する。水族館や動物園でも最もポピュラーな種類だ。北海道では12~2月ごろに、サハリンから南下してきた個体を見ることが出来る。4月下旬、繁殖期が過ぎると多くの個体は北上する。
しかし、5月中旬の朝7時ごろのことだった。Fishing moodさんは、海岸で衰弱したゴマフアザラシを発見した。鳥獣保護法によって一般市民がアザラシを連れて帰ることはできない。そのためFishing moodさんは市の職員が来るのを待つほかなかった。
Fishing moodさんはこの個体を「ゴマちゃん」と呼んだ。名前の由来は特になく、自然とそう呼んでいたという。ゴマフアザラシの赤ちゃんを見るのは初めてで、一般的な個体に比べて痩せているかどうかなどはわからなかった。しかし近づいても動かず、放っておくとカラスが狙っているようだったため、保護される9時半ごろまで寄り添い続けた。
ゴマちゃんは現在、おたる水族館に保護されている。おたる水族館の担当者によれば、今回発見されたゴマフアザラシは4月ごろに生まれた幼獣とみられる。外傷などは見られないものの、ひどく痩せて衰弱しているという。
「一般的に発見されたアザラシが衰弱している際には、感染症にかかった、ごみや異物を飲み込んでしまった、今回は違いますが外傷を負ってしまったなどの理由が考えられます。
ゴマフアザラシは3、4週間で離乳して独り立ちするのですが、その際に餌を取れなかった可能性もあります」
またおたる水族館の担当者は、アザラシを見つけた際には地方自治体の窓口や警察に連絡するよう呼びかけた。さらに野生動物であるため、万が一噛みつかれると感染症にかかってしまう可能性もあるとして、触らず距離をとって見守って欲しいとした。