チケット販売サイト「チケットぴあ」を運営する「ぴあ」(東京都渋谷区)が2021年5月13日、新型コロナウイルスのワクチン接種予約受付・抽選サービスを自治体向けに提供すると発表した。14日から相談を受け付ける。
個別予約受付とその抽選が可能になるシステムをパッケージとして提供する。すでに利用の交渉を始めている自治体もあり、早ければ5月中にも一部自治体で稼働を始める見通しという。
インターネット上ではこの発表直後、発券についてノウハウのある企業がワクチン予約システムを手掛けることに好意的な意見が多く見られた。一方、「受付1件につき千円程度」で予定しているという費用面について、内訳や誰が負担するかを気にする声も一部あった。J-CASTニュースは発表資料で明かされていないことについて、ぴあに取材した。
1件1000円、その内訳は?
ぴあは各種イベントのチケット販売を主軸に、イベント主催やホール・劇場ビジネスなど様々な事業を展開している。
しかし新型コロナウイルス感染拡大の影響により、多くのイベントは中止・延期になったため、同社も大きな打撃を受ける結果となった。そこで、安心してイベントを開催できる社会にすべく、早くワクチンを広めたいとの思いから今回のサービス提供を決めたという。
気になるのが費用だ。受付1件につき1000円程度という金額の理由について、ぴあの広報担当者は13日、J-CASTニュースの取材に次のように話す。
「現在、交渉を行っている自治体とは、接種券の発券と郵送までを行うことで話し合っています。発送の際には普通郵便ではなく、簡易書留などで送る必要がありますので、2回分で800円程度はかかります。そこに運営するための人件費などを考えると最低でも1000円程度は必要ではないかと考えました」
自治体によって予算が違うため、具体的な金額については相談しながら決めていくとのこと。接種券の発行はQRコードや電子チケットにも対応可能だという。抽選に落ちた場合、費用はかからないとした。
また、この費用は誰に対して請求されるのかについては、次のように答えた。
「請求先は自治体になります。交渉している自治体でも利用者から徴収するというお話はありません。1件というのは、基本的には1人2回分の接種と考えています。しかし、自治体によっては、2回に分けて抽選してほしいという要望がある可能性もあります」
「高齢者の接種」での運用は?
発表資料では、今回の予約サービスの提供は「今後の大規模接種や若年層への普及」に向けたものであるという記述もある。
しかし、いま現在優先して進められているのは高齢者のワクチン接種。予約方法などをめぐっては、各自治体でトラブルが起きていることが連日報じられている。今回ぴあが提供する予約システムは、目下の高齢者ワクチン接種には対応しないのか。前出の広報担当は
「高齢者ワクチン接種での運用も可能です。しかし、今回の運用では電話(での予約)には対応していませんので、インターネットで手続きいただけることが前提になります」
と答えた。
また、予約サイトについては「サイトは『チケットぴあ』内に設けるのではなく、各自治体用につくりますので、利用者の皆様にはそちらから予約を行っていただきます」と話している。