日本医師会・中川俊男会長が、東京都に「まん延防止等重点措置」が適用されていた最中に政治資金パーティーに参加していたと報じられたことをめぐり、ツイッター上では厳しい指摘が相次いでいる。
これまで国民や国に対し、新型コロナウイルスの感染拡大防止に努めるよう何度も呼びかけてきた中川会長。今回の問題に対しては「失望しかないです」「もう説得力も何もない」などの声が聞かれている。
厚労省・送別会問題には「無自覚な行動は国民への背信」
中川氏は2020年6月、日本医師会の会長に就任。毎週水曜日に行われる定例記者会見を通じ、国民に向け感染対策の重要性を訴えてきた。
たとえば「GoToトラベルキャンペーン」が実施されていた20年11月18日には、「『GoToトラベル』自体から感染者が急増したというエビデンス(根拠)はなかなかはっきりしないが、きっかけになったことは間違いないと私は思っている」と私見を示したうえで、「コロナ慣れしないでください。甘く見ないでください」と呼びかけた。
さらに、忘年会やクリスマスシーズンを控えた同年12月16日には「新型コロナに年末年始はない。忘年会やクリスマスの時期だが、大勢集まって盛り上がると、さらなる感染拡大と重症者の急増につながる」と危機感をあらわに。「今年は静かなクリスマス、サイレントナイトでお願いしたい」としゃれの利いたメッセージも発信していた。
時には「国民」の側に立ち、国に釘を刺すこともあった。
東京都などに2度目の緊急事態宣言が出される直前の21年1月6日には、「緊急事態宣言下において、全国会議員の夜の会食を人数にかかわらず全面自粛してはいかがか」と提案。「まず隗(かい)より始めよだ。国民に生じた緩みの解消につながる」と語っていた。
また、2度目の緊急事態宣言解除直後の3月24日に、厚労省職員23人が深夜まで送別会を開いていた問題について、3月31日の会見で「今回の無自覚な行動は国民への背信であると同時に、コロナ対策に日夜頑張っている医療関係者や、同僚である厚労省職員の努力を踏みにじるものである」と批判した。