東京五輪の大会指定病院をめぐって、参院予算委員会における立憲民主党の蓮舫議員の質問と菅義偉首相の答弁がかみ合わず、国会が一時紛糾する騒ぎがあった。
2021年5月10日の予算委では、蓮舫議員がコロナ禍の中での大会実施に否定的な立場から、様々な疑問を政府にぶつけた。
「大会指定病院では、選手と一般市民どちらが優先されるか」と質問
米ファイザー社から選手へのワクチン提供について、蓮舫氏は、山下泰裕JOC会長が感謝したが、選手や国民が納得できないのではないかとただした。
これに対し、菅首相は答弁で、世界中の選手が提供を受けるとして、山下会長の発言は問題ないとの認識を示した。
続いて、大会指定病院についての質問に移り、蓮舫氏は、感染拡大で救急搬送が困難な事案が増えている中で、選手と一般市民について「どちらが優先されるんですか?」と質問した。
これに対し、菅首相は、下を向いて原稿を読み始め、まず、ファイザー社からのワクチン提供は、一般市民への提供に影響を与えないと理解を求めた。そして、「今の話でありますけども」として、海外選手が一般市民と接触しないように、その行動を宿泊施設や競技会場などに限定するなどと説明を始めた。
すると、蓮舫氏らから「何の話をしているのか」と声が上がり、「止めて下さい、止めて下さい」と答弁を制止するよう政府側に求めた。それでも、菅首相は、原稿を読むのを止めず、「そうした可能性は極めて薄い」などと説明した。選手と市民との接触を指すとみられ、指定病院での優先順位のことは答えなかった。