コロナ禍で厳しい経営を迫られる日本航空(JAL)は2021年5月7日、中期経営計画(21~25年度)を発表した。「コロナ後」の需要回復を見据えた内容で、23年度にはEBIT(利払い・税引き前損益)をコロナ前の水準を超える1700億円、最終年度の25年度には約1850億円への引き上げを目指す。
ただ、「コロナ後」もビジネス需要の完全な回復は望みにくい。そのため、主力の航空事業では、比較的回復が早いとみられる観光需要を取り込もうと、格安航空会社(LCC)事業に力を入れる。そんな中で打ち出された方針のひとつが「低収益路線の運休」。対象は成田と韓国・釜山、台湾・高雄を結ぶ路線だ。現地の拠点も閉鎖が決まっており、競合するLCCの台頭に押される形で、約40年に及ぶ歴史に事実上幕を下ろす。
2025年度のフルサービスキャリアの売り上げは「コロナ前」から微減
機内食や座席指定に追加料金がかかることが多いLCCに対して、こういった料金が元々運賃に含まれている、JALのような従来型の航空会社は「フルサービスキャリア」(FSC)と呼ばれる。中期経営計画では、FSCのコスト削減策が打ち出されているが、それでも25年度のFSC事業の売り上げは「コロナ前」の19年度と比べて微減するとみている。
コスト削減策として、老朽化が進む主力大型機のボーイング777型機を退役させ、燃費がいい最新鋭機のエアバスA350型機の導入を進める。これに加えて「低収益路線の運休とコードシェアの活用」も掲げている。
この「低収益路線」にあたるのが成田-釜山、成田-高雄線だ。現時点で両路線はコロナ禍で減便されており、釜山線は運休、高雄線は週1往復の運休が続いてきた。これが7月からは「当面の運休」になる。
JALの赤坂祐二社長は記者会見で、国際線がコロナ禍による減便や運休で「かなりすでにネットワークを毀損(きそん)してしまっている」とした上で、
「中期(経営計画の期間)が、これを少しずつ戻していくというフェーズになるので、基本的には、最終的に25年ぐらいまでにはネットワークについては回復をさせたい」
と述べた。