女子大生向けファッション誌「Ray」の公式ウェブサイト「Ray web」上で2021年4月22日に公開された「パパ活」をめぐる記事について、同誌を発行するDonuts(本社・東京都渋谷区)は5月10日、J-CASTニュースのメール取材に応じ、「不快な思いをされた読者」に対し「深く心よりお詫び申し上げます」と謝罪した。
『【パパ活】顔合わせのポイントとは?安全に稼げる女子の服装・会話術を紹介(ハートマーク)』のタイトルで公開された当該記事は、食事やデートの対価として男性から金銭を受け取る「パパ活」を推奨するかのような内容だったとして、インターネット上では一部ユーザーの間で議論を呼んでいた。記事は4月28日までに削除されたが、当時Donutsは掲載や削除の理由について明かしていなかった。
「お手当」をもらう方法、金額をあげてもらうコツなど紹介
「Ray」は1988年に創刊された歴史のあるファッション雑誌だ。20代前後の女性が読者層で、数多くのテレビタレントや女優が専属モデルを務めた。2021年3月まで主婦の友社が手掛けていたが、4月にDonutsが事業を譲り受けた。
今回の記事内では、パパ活を「肉体関係は一切なく、食事やデートをしてお金をもらいます」と説明し、「パパ」(女性に金銭を渡す人)と初めて会う「顔合わせ」までの詳細、当日「お手当」(男性側から受け取る金銭)をもらう方法、金額をあげてもらうコツなどが紹介されていた。
「肉体関係」を前提としないというパパ活だが、各メディアではより多くのお金を得るため、肉体関係に発展してしまうケースも一部あるとたびたび伝えられている。
ツイッター上ではRayの記事をめぐって「これだめだろ......援助交際じゃん......」などといった投稿が多く上がっている。Rayの読者だったとみられるユーザーからは、同誌が今回の記事を掲載したことに対して、「私の知ってるRayじゃない」「Rayでこんな特集するとは...安全にパパ活出来るハウツー教えてどうする...」など、驚きとともに憤りや悲しみの投稿が見られた。
J-CASTニュース編集部は、パパ活を扱った理由やパパ活への認識などをDonutsのRay編集部に尋ねた。
――今回「パパ活」記事を掲載した理由は?
「誤掲載です。社内の業務フロー上で人的ミスがあり、本来は掲載しない内容である本件の該当記事を誤って掲載してしまったものです。事業譲受後間もない新体制での業務にて、誌面の編集チームとWebの運用チームの連携で行き届かない業務フローがありました。
そのような中、特に今回の事象では、掲載を検討する記事案のチェック漏れと、掲載に際しての編集長承認が重ねて漏れてしまった状況です。
それにより、本来は掲載しないと判断すべき記事まで、社内の正式な承認プロセスを経ず、Ray Web運用担当者が誤掲載してしまったことが理由です」
――「パパ活」についてどのように考えていたのか?
「当社ならびにRay編集部としては、女性に対しても、男性に対しても、やみくもに推奨すべき行動ではないと考えております」
「男女の出会いなどには様々なきっかけがあると思いますが、『パパ活』には様々なリスクもはらんでいることとも推察しております。ライター並びにWeb担当者の記事作成は、『パパ活』を推奨することではなくその実態をレポートしたいとのものでした。
しかしながら、記事をご覧になられた皆様のお声を聞きまして、あたかも推奨している印象を与えてしまったことを大変心苦しく感じております」
突然の削除...「しっかりとしたご説明ができていなかったことも、深くお詫び」
記者が28日に確認したところ、該当URLにアクセスしても記事は削除されており、「404」(ページが存在しないことを示すエラー)の文字があった。
また、5月7日時点で記事が掲載された公式サイト「Ray web」上では記事削除に関するお知らせ等はない。その点についてもDonutsのRay編集部に尋ね、回答を得られた。
――ネット上で批判の声が上がっているが、それが削除の理由なのか?
「そもそも本来は掲載しない記事の誤掲載であったために、Ray Webサイトから非表示とする対応をいたしました」
「該当記事の掲載6日後にネット上で批判が集まったことからRay Web運用担当者ならびにRay編集部が事態を把握し、初めて誤掲載の事実を認識しました。
そこで、Ray編集部としては当然ながら、該当記事は本来掲載すべきものではなく、与える誤認識や影響の大きさを鑑みて、即時該当記事を非表示化するよう対応しました」
――読者への告知等を行わずに削除した理由は?
「該当記事が掲載されていることによって、読者の皆様に与えてしまう誤認識や、それによる影響の大きさを鑑みて、一刻も早く即時に該当記事を非表示化すべきと判断いたしました」
「読者の皆様へは、事前の予告などがない状態で該当記事を非表示化したことについて、しっかりとしたご説明ができていなかったことも、深くお詫び申し上げます」
最後に、Ray編集部からは以下のようにお詫びが添えられた。
「【皆様へのお詫び】
二度とこのようなことがないよう、全社にて注意して取り組んでいき、読者の皆様にご理解をいただける新たなRayを創出してまいります。
この度は、本件の該当記事をお読みになり、不快な思いをされた読者の皆様に対し、重ねて深く心よりお詫び申し上げます。
皆様におかれましては、ご寛容のほど何卒お願い申し上げます」