新型コロナウイルス感染症拡大以降、疫病退散祈願の妖怪として注目を集めた 「アマビエ」と「ヨゲンノトリ」をラベルにデザインした清酒「封ジノ酒」が、2021年5月9日付で販売停止となった。
同商品を巡っては、ラベルに描かれた妖怪のデザインが他作品に酷似しているという指摘が相次いでいた。
「盗作という行為になってしまったことを認めます」
「封ジノ酒」は、小谷酒店リカーショップおだに(愛媛県大洲市)と大洲藩内の4つの蔵元が企画した。新型コロナウイルス感染症など悪しきものを封じ、地域繁栄、産業隆盛の願いをこめて、一升瓶(1.8L)のラベルには「ヨゲンノトリ」、4合瓶(0.72L)には「アマビエ」が描かれている。20年7月18日には大洲領旧総鎮守八幡神社で関係者が参列してコロナの終息を祈願し、小谷酒店の店頭とネットショップで発売された。
しかし21年5月、同商品のラベルデザインが他作品に酷似していると話題となった。妖怪イラストを手掛ける桂つかささんは8日のツイートで、「封ジノ酒」に描かれたアマビエについて、自身が20年3月にツイッター上に投稿したものの「盗用」ではないかと指摘した。
小谷酒店は翌9日、公式サイト上に「封ジノ酒(アマビエ・ヨゲンノトリラベルの日本酒)の販売停止とお詫び」と題した文書を掲載し、「封ジノ酒」のデザイナーである沖野恭平さんが盗作を認めたとして謝罪した。
「デザイナーの沖野氏に確認したところ、『騒動のポイントとなるモチーフにつきまして、今回のラベルに合うモチーフの参考を探し、そこから既存の作品を参考に制作していたこと、それが盗作という行為になってしまったことを認めます。大変申し訳ございませんでした』とのことでした」
「ヨゲンノトリ」のデザインについても、デザイナーである広瀬順子さんのイラストを参考にしたものだった。