「我々はファッションを売らない」 1着105円の激安古着店・たんぽぽハウスが貫く「哲学」

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「みんな、自分に必要だと思った服を買いに来る」

   どうすれば、圧倒的な集客力を持つ大型店に勝てるのか。転機となったのは2000年代初頭。羽田社長は「ブックオフ」や「ハードオフ」など、当時成長を遂げていたリサイクルショップチェーンのビジネスモデルを学ぶ機会があった。

   店にノウハウを持ち帰り、さっそく実行に移した。当時のパート社員に「捨てる寸前だった古着」を持参させ、店の端で売り出したのだ。「『古着』ってちゃんと書いてあるし、サイズも何も適当だった。でも、売れたんですよ」(羽田社長)。その後は、利用客から寄せられた古着を買い取り、店の自転車置き場で販売。高い利益率を出したことから、「たんぽぽハウス」としての本格的な古着ビジネスへシフトした。

メンズ、レディース、キッズまでさまざまな衣類を扱っている
メンズ、レディース、キッズまでさまざまな衣類を扱っている

   ユニクロやしまむらなど、ファストファッション店が存在感を増していった2000年代以降の日本。たんぽぽハウスのビジネスモデルは、一般的な古着チェーンでは扱わないような安価な衣料品や、多少状態の悪いものであっても積極的に買い取り、大量に販売するというものだ。羽田社長は、高価なブランド物を扱う他のチェーンと比べても価格帯が低いという意味で「言うなれば、我々は『古着界のしまむら』です」と語る。

   消費者の節約志向の高まりもあり、コロナ前までは業績好調を維持。17年には国内外の観光客で賑わっていた浅草、19年には古着激戦区の高円寺に出店するなど、勢いに乗っていた。そんな中、思いがけない需要も生まれた。

「例えば、穴の空いたツイードのジャケットを『サバゲー』の利用者が買っていったり、レディースの衣料を『女装趣味』の人が買っていったりする。世の中のファッショントレンドとは全く関係ない。みんな、自分に必要だと思った服を買いに来るんです」
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