「自分をかわいく見せることができる」
2016年にTikTokが登場すると、TikTokユーザーによりこの曲が共有され始める。ユーザーに拡散された動画で恋愛サーキュレーションは「流行歌」であり続けた。
中国ではアイドルオーディション番組「Youth With You」で中国語でカバーされたり、大手スマホメーカーXiaomiのCEO・雷軍氏が、自身の声を加工して替え歌を作り、決算報告の動画に載せて投稿していた程である。花澤さんも中国では高い人気があり、2019年に自身初の海外公演として上海でコンサートを行った際にも「恋愛サーキュレーション」を披露し、中国の観客も一体になって歓喜した。
実はLizz Robinettさんが「恋愛サーキュレーション」の英語カバーを最初にYouTubeに投稿したのは2012年。「化物語」のヒットからさほど経っていないが、それが2016年発のTikTokでブレークしたというのが特異な現象だ。TikTokにアップロードできる動画は最長60秒と短いが、ユーザーが趣向を凝らしてダンス動画やちょっとしたしぐさを録画した動画を投稿、かつてのニコニコ動画とは違う形で曲が共有されていて、振付も多彩だ。
Lizzさんの英語カバーは英語圏ユーザーのみならずアジア圏にも広がり、原曲を知らない日本のTikTokユーザーの間でもブレークしてきた。なぜTikTokとの相性がこれほどよかったのか、再びMUTEKI DEAD SNAKEさんに聞いてみる。
「TikTokは『自分をかわいく見せることができる』曲を選んで使用される傾向があると思うのですが、恋愛サーキュレーションには曲自体にキュンとするようなかわいい要素が盛り沢山なので、その曲にかわいい振りをつけて投稿することによって、自分をかわいく見せることができると、多くの人に思われたからだと思います。
英訳してもなおかわいらしさや、歌いたくなる語感の良さが残されており、TikTokがブームになると共に、この曲が海外でも再評価されるに至ったのだと思います」
原曲を知っている上の世代からは、TikTokでのブームを10~20代から知って驚く声も出ている。言語の壁を越えてカバーによって聴かれ続け、TikTokによって日本に逆輸入され再びブームが起きるというこの現象、「恋愛サーキュレーション」自体の曲の良さはもちろんだが、新しいSNSに適合してブームのリバイバルが起きた点で特筆に値する現象だろう。
(J-CASTニュース編集部 大宮高史)