飛び蹴りは「柔軟性の証」
高い柔軟性は引退後のゴールドシップが飛び回っている写真や動画で確認することができる。斜め下へのローキック写真などは見事な柔らかさと蹴り癖がなければ実現しない。その高い柔軟性がゆえに、ジワジワ筋肉を使う「気分」になるのが遅れると、加速が頂点に達する前にレースが終わってしまう。これが大敗の主な理由だった。
そして、肝心のゴールドシップが超のつく気分屋なので、不発大敗がどうしても頻発する。気分さえ乗れば......「お願いです、ちゃんと走ってください」騎手がゴールドシップにお願いするエピソードが存在したのもやむを得ないところだ。
ゴールドシップが気分屋である理由、これも多くの競馬ファンが解明しようと今でも話題になるテーマだ。血統を見ると母方には日本に根付き3代に渡って春の天皇賞を制したメジロマックイーンの血が入っており、日本の長距離への適性と、何代にも渡って同じコースを攻略した賢さも持っている。
だが、父親であるステイゴールドは現役時代から気性が荒く、これにより狂気が加わり「ぶっとんだ天才」となった、というのが血統からの見立てだ。
また付け加えると、ゴールドシップはデビュー前に福島で調整されていたところ東日本大震災を経験し、一旦北海道に戻って調整し直した経験を持っている。引退後に近くで救急車のサイレンが鳴り始めるとヘドバンをしだすゴールドシップの動画があったりするのだが、ゴールドシップからすると若いころに経験した震災時のサイレンを想起し、まわりに「おいお前ら、サイレン鳴ってるときはあぶねーんだぞ!」と注意喚起をしていたのかもしれないという見立てもある。記憶力が高く、アタマの良さを示しているのかもしれない。
ゴールドシップのそのようなエピソードは数多く、競馬ファンの間に膾炙している。