緊急事態への備えは「極めて重く大切な課題」 ビデオメッセージにみる菅首相の「改憲本気度」

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菅氏「コロナ対応で緊急事態への備えに対する関心が高まっている」

   21年の憲法記念日には、菅氏がこの「憲法フォーラム」にビデオメッセージを送った。菅氏は安倍氏と同様、緊急事態条項の必要性を念頭に置いて次のように述べた。

「例えば今般の新型コロナへの対応を受けて、緊急事態への備えに対する関心が高まっています。大地震等の緊急時において国民の命と安全を守るため国家や国民がどのような役割を果たし、そのことを憲法にどのように位置づけるかは極めて重く大切な課題です。しかし現行憲法において緊急時に対応する規定は参議院の緊急集会しか存在しません」

   このように、緊急事態条項の必要性については、ほぼ安倍氏を踏襲する一方で、自衛隊については次のように述べた。

「また自衛隊は大規模災害や新型コロナ等にも懸命に対応しており国民の皆様の多くから感謝がされ、支持されています。それにもかかわらず、自衛隊を違憲とする声があることもまた事実です。そこで自民党では憲法審査会で活発な議論を行っていただくため、『自衛隊の明記』をはじめ、『緊急事態対応』『合区解消・地方公共団体』および『教育の充実』の4項目について憲法改正のたたき台を取りまとめすでにお示ししています」

   菅氏は自民党改憲案に明記している4つの改憲項目の最初に「自衛隊の明記」を挙げたものの、安倍氏が護衛艦「たかなみ」の視察体験を引き合いに、個人的な感情を込めたのと比べると控え目な言及となった。

   一方、産経新聞は5月3日の1面トップで菅氏のインタビューを掲載。見出しには「自衛隊『9条に位置づける』」と掲げており、緊急事態条項よりも自衛隊を強調して伝えている。

   世論調査は20年よりも改憲に前向きの傾向がみられる。21年の憲法記念日を前に朝日新聞が実施した全国世論調査では「変える必要がある」が前年の43%から45%に微増し、「変える必要はない」が46%から44%に微減し、改憲「必要」と「不要」の差が第二次安倍政権以降最も小さくなって。産経新聞とFNN(フジニュースネットワーク)合同の世論調査では改憲賛成は52.6%で、反対の34.9%を上回っている(4月19日付)。しかしながら、コロナ対策に五輪と課題山積みの菅首相には、安倍氏ほど優先順位を上げて憲法改正に取り組む余裕はなさそうだ。

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