SKE48の松井珠理奈さん(24)が2021年4月29日、本拠地のSKE48劇場(名古屋市中区)で卒業公演を行い、約12年間半にわたるアイドル生活にピリオドを打った。
アンコール含めて全14曲を披露。そのうち珠理奈さんは4曲しか登場しない異例の構成となった。4月11日に日本ガイシホール(名古屋市南区)で行われた卒業コンサート同様、グループの今後を託す後輩メンバーを前面に押し出す狙いがある。珠理奈さんは現役で活動する最後の1期生。運営会社としては、珠理奈さんの卒業を「ひとつの節目」だととらえており、「新生SKE48としてのリブランディング」を本格化させる。後輩の活躍が増えることで、結果として「新生SKE48」スタートを後押しすることにもなりそうだ。
「『未来を託す』と言っていただけたので、強い気持ちが歌わせていただきました」
卒業公演には、15年に発足したグループ内ユニット「ラブ・クレッシェンド」の現行メンバー7人が出演した。ステージの幕が開けて登場したのは珠理奈さん以外の6人で、その後は6人によるソロ曲が続いた。珠理奈さんが初めて登場したのは、開演から50分近くが経とうとしていた9曲目のタイミングだ。前田敦子さん(29)のソロ曲「タイムマシンなんていらない」(13年)を、間奏部分で「私にはタイムマシンはありません。今が一番です」という今の思いを交えながら披露した。
珠理奈さんは「出てくるのおせーよ!って思ったでしょ?」とあいさつ。珠理奈さんによると、過去の公演やコンサートでソロ曲をパフォーマンスする機会があったことで「すごく力がついた」という実感がある一方で、今回の出演メンバーにはソロ曲や、ゆっくりとしたテンポの楽曲を披露した経験がない人もいるという。珠理奈さんは、後輩のパフォーマンスに
「メンバーに初めての経験をしてもらえたことが(卒業コンサートに続いて)今日もうれしかったと思います」
と喜んだ。さらに、「タイムマシンなんていらない」の「過去も未来も興味ない」という歌詞を引き合いに「私は過去には興味ないタイプですけれども、未来にはめちゃくちゃ興味あります」。後輩6人がパフォーマンスする次の曲を
「これからSKE48を引っ張っていって...というか、担っていってほしいなと思うメンバーが今日はたくさんそろっているので、そのメンバーに、この曲を歌ってもらいたいと思います」
と紹介した。楽曲は「未来とは?」(14年)。熊崎晴香さん(23)は、渡されたバトンの重さを感じている様子だった。
「『未来を託す』と言っていただけたので、強い気持ちで歌わせていただきました」
「私もSKEを守りたい、守れる人になりたい」
アンコール明けに珠理奈さんがドレス姿で「Memories~いつの日か会えるまで~」を披露する場面では声を詰まらせる場面も多かったが、「感極まって歌えなくなっちゃった...けどね、みんなが代わりに歌ってくれたから良かった」。逆に終盤のあいさつでは、野村実代さん(18)が涙ながらにグループを支える決意を述べる場面もあった。
「珠理奈さんは一番にSKEのことを考えてきたから、私もSKEを守りたい、守れる人になりたいと思いました」
卒業公演のサブタイトルは「本当に珠理奈はSKE48 から卒業できるのか?」。この問いに対する珠理奈さんの答えははっきりしない。
「できそうにないですねー。正直、これだけかわいい子たちがいて、みんなの成長をも届けたくなっちゃうんですよね。『本当に卒業できるのか?』と聞かれたら『できません』と言いたいところですけれど、自分で決めたことだし、これからやることもたくさんあるし、でもみんなから離れるわけじゃないので、本当にくっつき虫のようにくっついていくかもしれないし...、嫌がられても(笑)」
珠理奈さん卒業で「グループはひとつの節目」「新生SKE48としてのリブランディングを」
ただ、珠理奈さんの卒業を機に、SKE48はそのイメージを一新することになりそうだ。グループの運営会社が「新生SKE48としてのリブランディング」に取り組む考えだからだ。運営会社「ゼスト」の親会社、KeyHolderが21年2月15日付で公開した20年12月期決算説明会の動画では、赤塚善洋副社長(当時)が、珠理奈さんの卒業で「グループはひとつの節目を迎える」と説明。節目にともなう施策を次のように説明している。この時点で、赤塚氏はゼストの社長を兼務していた(21年3月にKeyHolder社長に昇格し、ゼスト社長は退任)。
「これまでSKE48を支えていただいたファンの皆様から引き続き応援いただけることはもちろん、これからのエンターテインメント業界での活躍を見込んだ、新生SKE48としてのリブランディングを(総合プロデューサーの)秋元(康)先生とともに図る予定」