「都が見殺しにした」 東京ビッグサイトの同人誌イベントに、緊急事態宣言下の「例外開催」はなぜ認められなかったのか

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助成金に手間を割くよりはイベントを準備したほうが早い

   それでは今回の急な延期について行政からの支援を得ることはできるのだろうか。スパコミを開催予定だった赤ブーブー通信社の代表・赤桐弦さんによれば、今回の急な延期に関する補償は現段階で把握できていないという。

「19年の台風19号の影響で催事が相次いで中止となった影響を知ってくれた栗下都議が時間をかけて動いてくれたおかげで、いまは社会状況によって会場を使わなければ東京ビッグサイトの会場費は返ってくるようになりました。しかし補償については出来ないといわれています。
今回は議員さんたちが同人誌即売会も対象にしてくれた補助金制度『J-LODlive』を、という声もあるのですが、基本的にJ-LODliveは同人誌即売会にほとんど使えません。
普通のイベントは間に代理店が入っており、事務局費含めほとんどが外注費であり補償を受けられます。
同人誌即売会は事前の事務局運営費と制作費が主な費用、例えば弊社では経費の65%ほど、となっているのですが、ほとんどの実務を内製化しており補償対象にはなりません。
今回は会場費を除き、キャンセルの効かなかった一部当日経費が補償対象になるかもしれないので、少しだけ受けられるかもしれません。全体経費の数%くらいだと思いますが、、、。
文化庁の『ARTS for the future!』も申請するつもりですが、1団体1回までの申請となりますので、、何度も不規則に繰り返される宣言・処置を考えるとどこまで活用できるのかは微妙です。
大変ありがたいお話なのですが申請への手間も膨大なため、正直、助成金に手間を割くよりは、次に向かって対策を練る・開催準備の時間をしっかりとった方が前向きだし、むしろ倒産リスクを大きく減らせます」

   赤桐さんは、助成金は手間の割にリターンが少ないと漏らす。また「助成金目当てで営業しているのではない」として、参加者たちに徹底的に寄り添って真摯な対応を行っていくことのほうが大事だと話した。また実際に今回のイベント延期報告後、赤ブーブー通信社のもとには一晩で数多くのイベント参加申し込みが寄せられているそうだ。

同人誌即売会は「J-LODlive」の補償対象が少ない
同人誌即売会は「J-LODlive」の補償対象が少ない

   そのうえで赤桐さんは、補償も大事だが「会場費の減免」も強く求めている。

「大阪市のイベント施設『インテックス大阪』は会場費を減免してくれています。なぜ東京ビッグサイトではできないのでしょうか。
会場費が安くなれば、最も感染症対策に重要な『人流抑制・分割分散開催』にリスクを抑えて挑戦することが出来ます。実際に弊社ではたくさんのウィズコロナ禍のイベントを開催してきて、そのノウハウを蓄えてきております。
またイベント主催者は会場を広めに借りることも可能になりますし、仮に今回のように急な中止となってもイベントを続けられる企業体力を維持できます。
今回の補償ももちろん大事ですが、こうした事態が繰り返されるものとみています。そのために会場費の減免を強く求めております」

   栗下氏も「業界も相当疲弊しておりますから、未来に向けた施策も必要だ」という見方を示した。

「都は、『まだコロナ禍が続いている中で、イベントをやりなさいと都としてメッセージを送るようなことはできない』として、『コロナ禍が明けた時に施策を用意する』と言います。しかしそれから1年以上経っています。もう業界の体力が持たない。やはりそういう現実を見たうえで、『会場費減免』など適切な施策を検討していく必要があります」

(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)

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