新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言が発令された影響で、東京ビッグサイト青海展示棟(東京都江東区)で2021年4月25日に開催予定だったイベントが、前日に延期の決断を余儀なくされた。赤ブーブー通信社が主催する、個人が趣味で制作した本「同人誌」を売買するイベント「SUPER COMIC CITY GYU!!(以下スパコミ)」である。
しかしプロ野球や一部舞台など有観客で実施されたイベントもあった。政府は、多大な混乱が生じてしまうと主催者が判断する場合には、直ちに無観客化・延期などをしなくてもよいという「例外措置」を取ることを認めている。
では、なぜスパコミは例外措置の適用が認められなかったのだろうか。
イベント開催の「可能性」はあった
赤ブーブー通信社は23日夜、緊急事態宣言発令に伴い、東京ビッグサイトから使用禁止が通達された。突然の延期は、協力企業や参加予定の人々に多大な損害を与える可能性がある。同社は翌24日、東京ビッグサイトを通じて東京都と協議を重ねていたという。
都議会議員の栗下善行氏(立憲民主党)は、こうした窮状を聞きつけ都に対して働きかけていたと明かす。
「24日14時ごろ、休日なので都には連絡がつかず。まずは東京ビッグサイトの担当者とお話をしました。重要なこととしては、例外で開催の可能性がありますということはおっしゃっていたことです」
協議の焦点は、政府の定める例外措置が適用できるかどうか。栗下さんは、会場が判断しかねる問題だとして都庁へ連絡を試みたと話す。しかし24日は休日であるため、都庁の窓口は開いていない。栗下氏は緊急事態宣言の発表のタイミングを批判する。
「緊急事態宣言や人流抑制をしなければいけないということについては、この状況下において多くの人が認めるところだと思います。ただしそのタイミングが、周知できない休日であるということ、これが急に決まったこと、これは全部政治の責任です」
また栗下氏は24日、会場の担当者から都の担当者を聞き出し、政府が発した例外措置を検討するように訴えたという。しかし、赤ブーブー通信社の主催するスパコミが実現することはなかった。
ではなぜ、一部イベントは有観客で実施されていたのにもかかわらず、スパコミは例外措置が認められなかったのだろうか。J-CASTニュースは28日、関係各所を取材した。