「訴訟への影響はなく、寄付の無効を求めて争っていく」
報道によると、逮捕された元妻からは、自らの遺留分を求める申請が出たため、田辺市では、遺産総額が確定した段階で元妻側と遺産の分割協議に入る見込みだったと報じられている。確定するまでの不動産鑑定などの手続き費用は、約1億8000万円とされ、その一部を市がすでに予算化している。
市は、土地や建物などの所有権を市に移す手続きを進めていたが、野崎さんの兄ら親族4人が20年4月、遺言執行者の弁護士を相手取り、遺言書の無効確認を求めて和歌山地裁に提訴した。遺言書が無効となり、かつ元妻への相続が行われた場合、配偶者への相続分を除いた全体の4分の1を親族で分け合うこととなる。
裁判では、親族側は、遺言書について、コピー用紙1枚に赤ペンで走り書きされていて、野崎さんの意思で書かれたとはみなせず、野崎さん自身にも、市に寄付する合理的動機が見当たらないなどと主張。野崎さん以外が遺言書を作成した可能性が高いとして無効だとしたが、相手側の弁護士は、請求を棄却するよう求めている。
もし元妻が刑に処せられた場合、野崎さんの遺産を相続できなくなるが、今後どのような影響が出るのだろうか。
親族側の代理人をしている渥美陽子弁護士は4月28日、J-CASTニュースの取材に対し、次のように話した。
「訴訟への影響は、ないですね。遺言が有効か無効かを争っており、妻の方は訴訟相手にはなっておらず、争点とは関係ないからです。今後も、裁判を淡々と進めていくだけだと思っています」
裁判の結果、もし遺言が有効とされた場合、元妻が相続できなくなっても、兄ら親族には遺留分はなく、田辺市が遺産全額を相続するという。
次回は、6月2日に行われる第7回口頭弁論で、結審の見通しについては何とも言えないとしている。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)