日本テレビ系のバラエティ番組で、女優の上白石萌音さん(23)がモーターパラグライダーを初体験したところ、ロープ固定具のカラビナが開いたままになった映像が一時流れ、ツイッター上で心配する声が相次いだ。
体験飛行をした会社側は、「強風でミスがあった」とJ-CASTニュースの取材に説明した。日テレの広報部は、「会社の指示に従って撮影した」とコメントしている。
カラビナのロックが外れて、今にもロープが取れそうだった
「やってみたかった」とパラグライダー搭乗を喜んだだけに、上白石さんは、「気持ちいい」と上空で笑顔を見せる。
ところが、映像右側の赤色のカラビナを見ると、ロックが外れて、今にもロープが取れそうだった...。
体験搭乗は、2021年4月16日夜放送の日テレ系番組「沸騰ワード10」で紹介され、上白石さんは、千葉県内の海岸でインストラクターとともに空を飛んだ。モデルの佐藤栞里さん(30)から初体験をプレゼントされたという。
2人とも、プロペラだけのシンプルなモーターを前に、「怖っ」とおどけたが、飛行がそれぞれ始まると笑顔が弾けた。澄み切った青空の下、沈む夕日に照らされた富士山の風景を前に飛行を楽しんでいた。
映像は、和やかな雰囲気だったが、ロックが外れたカラビナを見たパラグライダー愛好者らからは、放送後に懸念する声がツイッター上で相次いだ。
「見た瞬間血の気が引いた... めちゃくちゃ危ないじゃん」「安全管理どうなってたんだろう?」「萌音ちゃんと栞里ちゃんに何も無くて良かった」
さらに、ロックがかからず装着が楽なようにガムテープが巻いてあるのではないかなどと、他にいくつかの疑問点も指摘されている。
今回の体験搭乗を担当し、千葉県富津市内でモーターパラグライダーなどのスクールをしているスカイエンジェルに19日に取材すると、同社の萩原光代表は、こう説明した。
「インストラクターが気付いてロック。危険はそんなになかった」
「当日は、風が強くて、スタッフがパラグライダーを押さえて作業しましたが、カラビナにロープが挟まって、ロックできない状態で飛び立ってしまいました。上白石さんの後ろにいたインストラクターが僕で、気が付いてすぐにロックしました。ロックが外れていたのは、ほんの一瞬ですし、僕がサポートしていたので、落ちるなどの危険はそんなになかったと思っています」
カラビナ辺りにガムテープが貼ってあるのは、振動で緩んでロックが動かないよう、安全のためにテープを巻いているとした。
「40年近くやっていますので、ゼロとは言えませんが、めったにあることではありません。いつもそんなことはなく、あったら困りますよ」
日テレ側からは、危険だったかどうか問い合わせが来て、問題はないと回答したとも明らかにした。
萩原代表は、国内の愛好者らでつくる日本パラモーター協会の会長もしている。この協会を統括している日本航空協会は4月19日、今回の件について、航空スポーツ室の担当者が取材にこう話した。
「安全に危惧されるところがありますので、パラモーター協会所属の団体や愛好者に対し、講習会などを通して、安全の確認と注意喚起をするようにお願いしました」
日本テレビの広報部は20日、取材にこうコメントした。
「上白石萌音さんのシーンで、カラビナ(金具)が、完全には閉じていませんでした。今回ご協力頂きましたモーターパラグライダーの会社が安全確認を行い、その指示に従って撮影をしました。ご出演頂いた皆様には、この状況を説明し、お詫び致しました。視聴者の皆様にはご心配をおかけいたしました。今後はより一層、安全に注意して撮影をしてまいります」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)