東京電力福島第1原発の処理水を2年後に海洋放出する方針を日本政府が決め、周辺諸国が反発を強める中、中国がゴジラの起源まで持ち出して日本批判を展開している。
ゴジラの多くの作品では、放射能が原因でゴジラが誕生したとされている。日本は処理水の海洋放出でゴジラを生み出そうとしているのではないか、という現実離れした皮肉だ。
新型コロナや銃犯罪の犠牲者数列挙し「これらの人々の人権を守るために何をしたのか」
最近の中国外務省の記者会見では、趙立堅、汪文斌の2人の報道官が順番で登場。この2人が処理水の放出決定や日米首脳会談に関する批判を展開している。華春瑩報道局長が最後に記者会見に登場したのは2021年4月2日だが、ツイッター上の活動は引き続き活発で、そのなかには日米への批判も多い。一例が4月19日の一連のツイートで、次のような内容だ。
「米国と日本が国際社会を代表できるわけではないし、国際秩序を定義する権利があるわけでもない」
「日米は『自由と開放』をうたう一方で、ブロック対立のための『小集団』を形成しようと行動している。これは地域の安全と安定に真の脅威をもたらし、国際的なルールと秩序に損害を与えている」
その上で、日米が過去の戦争で出した犠牲者数をツイートしたのに続いて、米国での新型コロナウイルスや銃犯罪による犠牲者数を列挙。米国が中国の人権状況を問題視していることを皮肉った。
「米国は、これらの人々の人権を守るために何をしたのか」
ハリウッド版最新作が3月に公開されたばかり
このツイートに続く形で、日本にも矛先が向かった。
「日本は福島の核汚染水を太平洋に放出してゴジラを生み出そうとしているのか?」
ゴジラでは、作品ごとに設定は異なるものの、多くはビキニ環礁での原爆実験による放射能を浴びてゴジラが誕生した、という筋書き。「シン・ゴジラ」(16年)では、ゴジラが体内の原子炉のような器官からエネルギーを生み出し、ゴジラが通過すると周辺の放射線量が上がるという設定になっている。わざわざ、こういった背景を踏まえて処理水放出を批判したわけだ。
ゴジラは中国でも人気で、ゴジラとキングコングの激突を描くハリウッド映画「ゴジラvsコング」が21年3月に上映が始まっている(日本では5月14日公開)。
Is #Japan trying to produce "Godzillas" by discharging #Fukushima nuclear contaminated water into the #Pacific?
— Hua Chunying 华春莹 (@SpokespersonCHN) April 19, 2021