「全部委ねてください、私に。何もしないように」
カットが変わり、画面は川口さんが陶芸台の前に鎮座する様子を映したものに。画面中央に陶芸台が映り、その向かって右側に川口さんが腰かけ、反対側となる左側には先生が腰掛け、その上にあるろくろを使って茶碗を作っていくが、この時、VTR中では初めて先生の顔が大写しになったが、その姿は黒マスクにサングラスという、顔の特徴を全て隠しているという意味では「特徴的な」ものだった。
加え、先生の服装は黒のタンクトップに革製と思しきパツパツの黒いズボン。さながら「ちょい悪オヤジ」といった感じのお洒落な雰囲気を漂わせる先生は川口さんにろくろを回すペダルは足で踏むことを伝え、そのろくろが回り始めると、川口さんの両手を土へと導いたのだった。
「(土に)触れていきましょう」と川口さんの両手をろくろの上で回転する土に押し当てる先生。水を含んだスポンジを土の上で絞り、土と川口さんの手を濡らすと、「全部委ねてください、私に。何もしないように」と、催眠術師のような実に穏やかな口調で川口さんに語り掛けたのだった。
「キューって、こんな力で押していきます」「ピタッと来た感じ、分かりますかね?」と、手の力の入れ具合を、川口さんの両手を握りながら説明する先生。「そうしましたら、上に、そーっと上昇」との先生の言葉が終わると川口さんの両手は土から離れ、そこには、茶碗の原型と言える空洞が出来た筒状の土の塊が出現した。