京浜急行電鉄は2021年4月15日、主力の1000形電車の新車両を京急蒲田駅(東京都大田区)で報道陣にお披露目した。座席の配置を自動で切り替えられ、京急としては初めてトイレを備えたのが特徴だ。
京急では、快特で品川から京急久里浜まで乗ったとしても、所要時間は1時間程度。そのため、トイレは備えてこなかった。この方針を転換する契機になったのが、イベント列車として売り込む戦略だ。
4両編成にバリアフリーの洋式トイレと男性用トイレ
現行の1000形は1959年に登場した「初代1000形」の後を継ぐ形で02年にアルミ製車両が登場し、07年からステンレス車として製造が続いている。現時点でアルミ製とステンレス製を合わせて450両以上が運行されている。新たにお目見えするのは、4両編成が2編成、計8両だ。
新車両には、2号車にバリアフリーの洋式トイレ、3号車に男性用トイレを設置。京急が車両にトイレを設置するのは初めてで、汚水を吸い取る装置を金沢検車区(横浜市金沢区)に新たに整備した。
もうひとつの大きな特徴が、座席が自動回転して切り替わる機能だ。都市部の通勤電車で一般的なロングシートと、郊外型電車に多いクロスシートを使い分けることができる。有料特急ではクロスシートで運行し、それ以外は混雑の度合いによってロングシートとクロスシートを使い分ける。貸切列車の場合、両シートを組み合わせて車座のような配置にすることもできる。
さらに、1000形ステンレス車では廃止されていた、運転席後ろの「展望席」が復活。全座席にコンセントも備えた。
貸切列車のお値段は...?
営業運行でお目見えするのは5月6日の「モーニング・ウィング3号」(三浦海岸発品川行き)から。その後は快特や特急の増結車両として運用したり、プロモーションやイベント列車として活用してもらったりすることを想定している。
例えば16年10月に京急とキリンビールがコラボして走らせたビール列車の場合、始発は横浜駅で、キリンビール横浜工場の最寄り駅の生麦駅でビールを積み、京急川崎~小島新田を2往復。全体で約2時間のコースだったが、途中停車駅の京急川崎駅では多くの乗客が急いでトイレに向かった。新車両であれば、そういった心配もなくなりそうだ。
新車両のデビューと合わせて、5月8日から貸切電車のプログラムもリニューアルする。これまでのプランでは、基本的には(1)大師線・京急川崎駅~小島新田駅を2往復(2)品川駅~三浦海岸駅か浦賀駅を往路のみ、の2パターンの運行しかできなかったが、これに(3)品川駅~京急蒲田駅を2往復するプランも追加された。
値段は、商品のプロモーションを目的にしない「イベント・旅行のお手伝いプラン」で4両編成を貸し切る場合で、それぞれ53万9000円、59万4000円、64万9000円。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)