「タイ~ヤマルゼン」の人が社長になっていた! CM出演後の「出世ぶり」に反響→詳しい話を本人に聞いた

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   「タイ~ヤマルゼン タイヤマルゼン、ホイ~ル...」。思わず口ずさんでしまうようなテレビCMをご存じの方も多いだろう。そう、男前3人組が横に並び、それぞれ笑顔でタイヤを転がしている、あのやつだ。

   ツイッターでは、CMでセンターを務めるイケメン男性が、今や「タイヤマルゼン」の社長になったとの投稿で盛り上がっている。本人に直接会って、社長になるまでの経緯を語ってもらった。(聞き手・構成:J-CASTニュース編集部 野口博之)

  • タイヤを転がすポーズに応じる米岡功二社長
    タイヤを転がすポーズに応じる米岡功二社長
  • タイヤを転がすポーズに応じる米岡功二社長

3人とも出世していた

   タイヤマルゼンと言った方が通りはいいが、正式な会社名は、カーポートマルゼンだ。

   J-CASTニュースでは、大阪市内にある本社で2021年4月14日、CMに登場する3人のうち、センターでタイヤを転がしていた米岡功二社長(35)に会った。

――ツイッターで12万件以上も「いいね」が付いているあのCMの画像は、いつごろのものですか?

こんなCMだった(カーポートマルゼン本社受付で)
こんなCMだった(カーポートマルゼン本社受付で)
米岡: 私がまだ20代前半だった2011年ぐらいのときですね。本社の受付に飾ってあるパネルと同じものです。2009年に大阪の枚方店がオープンして記念セールをしたときに、「タイ~ヤマルゼン」のCMが生まれたんですよ。そのときは、私は枚方店での販売スタッフでした。当時のCMに出ているメンバーは、全員枚方店所属です。

―― CMの左側でタイヤを転がしておられた方は、話題になったツイートでは本部長だとされていました。右側でタイヤを転がしておられた方は、今はどうなっていますか?

米岡: 左側は、そうですね、営業本部長をしています。右側は、購買の部署で商品の仕入れを担当している責任者ですね。

――米岡さんは、持ち株会社のマルゼンホールディングス社長をしておられる秀高さんの息子さんで、3代目ということでいいですか?

米岡: そうです。実は、CMの左側は、2つ下の弟になります。右側は、血縁関係はありません。当時のCMは5人ぐらい枚方店のスタッフが選ばれて出演しているのですが、彼は、お客様から名前がよく挙がるほど信頼が厚く、リピーターも多いので候補になりました。売り上げ成績も、販売スタッフ時代はトップクラスでしたね。

「タイ~ヤマルゼン」CMが生まれた理由

――米岡さんは毎年のようにCMに出ておられますが、大阪の堺市内に本店があるのに、すべて枚方店で撮られているのでしょうか?

米岡: 枚方の方が敷地面積も広くて、撮影スペースも余裕があるので、やはりいつも撮影するときは、枚方の方が選ばれますね。実は、ホイールが壁いっぱいにある展示スタイルは、業界独自のもので「タワーラック展示」って呼ぶんですよ。1階から2階まで吹き抜けの状態で壁一面をガラス張りにして、ホイールを天井まで並べているので、すごい迫力があって、きらびやかできれいなんですよ。堺の本店がオープンしたときに、初めてそのスタイルを考案しました。

――テレビCMは、2007年に作り始められたときは、失敗したんですよね。

米岡: そういうことです。2007年のときに初めて、多額の投資でCMに挑戦するぞとなると、なかなか冒険するのは怖いじゃないですか。なので、当時流したのは、非常にスマートなカッコいい作りでした。スタッフは登場せず、画面いっぱいにタイヤとホイールを映してカーポートマルゼンへというもので、普通すぎて、記憶には残らなかったんです。その次に、やっぱり話題性がいるだろうと思い、当時「エンタの神様」とかにも出られていたお笑いコンビのダブルダッチさんに出演してもらいました。「タイヤがあったり、ホイールがあったり、ラジバンダリ!」とちょっとふざけたCMで話題性はあったんですけど、その方々は半年後ぐらいに解散してしまうんです。もう流せなくなるので、じゃあ次のCMどうしようかとなるわけですね。芸能人や芸人さんを使うのは、年々流行り廃りがあり、企業イメージへのリスクもあるし、放送権利料が高額になるので、我々スタッフが出演しようとなりました。もっとお客様にタイヤやホイールを身近に感じてもらい、スタッフに親近感を持ってもらって来店していただくために、枚方店オープンのときにそのスタッフがみんなで出ました。

――ユーチューブの公式チャンネルにたくさんCMが出ていますが、何種類ぐらいあるのでしょうか?

米岡: 種類だけで言いますと、やはり30種類ぐらいありますね。女の人が「タイ~ヤマルゼン」と繰り返す女性バージョンとか、50人ぐらいが長蛇の列でタイヤを永遠に転がし続ける大人数バージョンとかいうCMもあって、それも面白いです。現在テレビで流しているCMは、兵庫の西宮店に在籍する営業マンが出ているんですけど、実は、彼は元美容師なんですよ。業界経験はゼロの方だったんですけど、美容師はしゃべるのがうまいじゃないですか。仲良くなる能力、トーク術に長けてたんで、入社して1、2年でお客様のニーズを引き出し、すぐにうちの業界でも売り上げトップになりました。

コンビニや飲食店で「ああ、CMの人や!」

―― ネット上では、タイヤを転がすCMをマネした動画を投稿する人も多いようです。

米岡: ユーチューブやSNSで、子供たちが「タイ~ヤマルゼン...」とマネして、おもちゃや浮き輪、座布団を転がしたりして遊んでいる映像とかありますね。タイヤを転がすのは、最初は難しかったですよ。あれね、簡単に見えるんですけど、タイヤを見ながら転がすんではなくて、前のビデオカメラを見ながら手探りでタイヤを転がすんです。目線は別で、なおかつ笑顔をキープしないといけない。慣れるまでは、タイヤが曲がって行ったりするんで、まっすぐ転がらずに難しかったですね。後は、3人を揃えるというのが一番難しかったです。1人は完ぺきにできても、後ろの人が下向いていたり、タイヤをコツンコツン当てて来たりとか、距離感がなかなか分からないんです。初めてCMを撮影した2009年のときは、テイク40ぐらいまで撮りました。でも、最近は、テイク3ぐらいで少し撮ったらみんな揃うようになりました。

―― 同窓会誌で読みましたが、米岡さんは、高校時代に消防士を目指しておられたんですか?スポーツをするなど体が頑丈だったのでしょうか?

米岡: 昔から正義感は強かったので、困っている人を助けたいというか、人を守る仕事に携わりたかったんですね。体が小さいんですけど、野球や空手をやっていて、元々トレーニングも好きでした。実は、高校3年のときに担任の先生に相談したところ、先生が「直接人を守る仕事もあるけど、どの職業に就いても、間接的に人を助けることにつながる。だから、消防士とか警察官とかだけが人を助ける仕事ではないよ」と言われ、大学に進学しました。他の会社も考えていましたが、後継者問題があり社内の経験を積むために、大学を出てすぐにカーポートマルゼンに入社しました。他の会社にいて、戻ってすぐに役員とかになると、社員からの目もあるじゃないですか。だから、やっぱり下積みも大事やと思って、みんなと同じ経験をしていきたかったですね。

――米岡さんは、今でもCMに出られておられますよね。コンビニなどでも、やはり声をかけられるのですか?

米岡: そうですね。コンビニとか飲食店に行ったときでも、「ああ、CMの人や!」「よく見てます」とやっぱり声かけられますね。「どこに行けば会える?」「彼女はいるか」と昔はよく聞かれまして、枚方店のスタッフをしていたときは、CMを見て会いに来たりとかもありました。僕が一番よく比較されるのは、柔道で3年連続オリンピック金メダルを取った野村忠宏さん。昔からずっと似ていると言われています。実は、2年前に本人にお会いしているんですよ。関西の経営者の会に特別ゲストで来られていて、野村さんと一緒に写真を撮って、本人と話したら、野村さんもこうおっしゃるんです。「実は、自分もタイヤマルゼンのCMのセンターの人に似てるって、よく言われますよ」と。

ネット販売に力を入れたため、テレビCMを全国で流すように

――会社は、1981年に「丸善タイヤ商会」としてタイヤのパンク修理からスタートされたんでしたね。

米岡: 今年で、創業40周年になります。当時は、まだ日本のインフラが十分に整っておらず、路面もガタガタのところが多く、パンクする車も多かったんですね。なので、新品のタイヤやホイールよりも、パンク修理とか中古タイヤとかの方が需要があったんですよ。それで、祖父の時代にパンク修理業をスタートさせました。しかし、それだけでは食べていけないため、タイヤやホイールを売ったり、車のオーディオやシートなどのパーツを扱ったりしました。カーオーディオが売り上げの7割とシェアは大きかったのですが、ITが進んで車メーカーの純正オーディオがよくなっていくと、需要がなくなると考えました。また、量販店スタイルだと競合が多く、家族経営の小さな店では、駐車場もないため、勝ち残っていくのがなかなか難しい。それを読んで、店ではパーツ類を扱うのは止め、商品を絞って専門性を出し、差別化を図ろうと、1988年にタイヤ、ホイールなど車の足回り専門にシフトしました。タイヤは消耗品なので、新車でもいつかは需要が生まれますし。翌89年にカーポートマルゼンと名前が変わっています。ネットでは最近、ドライブレコーダーなど簡易的な用品は販売しています。

―― 関西で5店、関東では埼玉県内に1店がありますね。なぜ埼玉なのですか?

米岡: 神奈川や埼玉、千葉で探していたんですが、たまたま埼玉のその土地に縁があったんですよ。関東は、まだ点でしかなく、面で押さえるために、出店をして関東のお客様にもお応えしていきたいですね。実は、テレビCMを全国でしている理由は、2002年からインターネット販売に力を入れており、店舗のないエリアでも、大阪の物流倉庫から出庫してお客様に届けるためです。タイヤやホイールについて、今までは、自分で着けて下さいというスタイルでしたが、最近では、取り付け店の紹介サービスも全国で始めました。取り付け店だけで3500店舗の紹介先があります。また、自分の車に装着できるサイズが分からないという声もあったので、自分の車を入力すれば、この年式のこのグレードだったらこんな商品が着くと自動で選択してくれるマッチングシステムも入れています。今は、店とネットで売り上げは、半々ぐらいです。お店の数が少ないのに、ネット販売と同じぐらいの売り上げがあるのは、業界ナンバー1だと思っています。ネットの価格とお店の価格は共通にしており、どちらで買ってもお安く買えるんですよ。お店の方が相談して的確に回答してくれるので、安心して買っていただけます。

米岡功二さん プロフィール
よねおか・こうじ
カーポートマルゼン社長。1985年、大阪市生まれ。兵庫県立大学工学部卒業後、2008年に同社入社。販売や仕入れ部署などを経て、副社長になり、2020年1月から社長を務める。大学時代に知り合った女性と、3年前に結婚した。趣味は、野球観戦やゴルフ。地元の球団オリックスを応援している。


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