復興庁が公開した、放射性物質トリチウムを模したキャラクターをめぐり、SNS上で物議をかもしている。
東京電力福島第1原発から海洋放出されるトリチウムを含む「ALPS処理水」の安全性をアピールするために作成され、ポスターやウェブ動画に掲載された。
「放射線やトリチウムというテーマは専門性が高く、分かりづらいため、できるだけ多くの方に関心を持ってもらうことが必要です。それと正しい情報を知っていただくことを合わせて全体的にイラストを用いてわかりやすく解説しました」
復興庁原子力災害復興班は2021年4月14日、J-CASTニュースの取材に、キャラクター作成の狙いをこう話す。
復興庁は13日、ウェブサイトで「ALPS処理水について知ってほしい3つのこと」と題してポスターとウェブ動画を公開した。この中でトリチウムが愛嬌のあるキャラクターとして登場する。
原子力災害復興班によれば、福島県の復興の現状などを伝える「メディアミックス事業」の一環として作成した。事業は電通に約3億円で委託した。前述のキャラクター関連の費用については「企業情報なので詳細には申し上げられない」。
東京新聞が13日、「『トリチウム』がゆるキャラに? 復興庁『親しみやすいように』原発汚染処理水の安全PR」と電子版で報じると、SNS上では是非をめぐり議論を呼んだ。
加藤勝信官房長官は14日の会見で、産経新聞の記者から「地元の漁業者の心に寄り添った別のアプローチもあったのでは」と問われ、
「キャラクターについて趣旨やどのような使われ方をされているか承知しておりませんので、一概に申し上げることはできないですが、政府としては風評対策、国民の理解を深めるための対応に対して、国民、地域の皆様が色々な思いを持たれているということを受け止めながら取り組みをしていきたい」
と答えた。
原子力災害復興班は「さまざまなご意見があるのは承知していますが、そういった方々を含めて、できるだけ多くの方にまず関心を持ってもらうということが必要ですので」と意義を強調する。
掲出期間は未定で、ポスターの配布も検討予定だとする。