大阪「なにわ筋線」完成したらどうなる? 計画図に見る「懸念」と開通のメリット

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新今宮手前の勾配と平面交差

   なにわ筋線は新難波駅の南方から地上に出て、新今宮駅手前で南海本線と接続させる計画だが、新難波~新今宮間の勾配がかなり急で、計画では44‰(パーミル)で建設される。高野山に登る南海高野線の50‰並みの急勾配であり、平地を走る南海本線の車両が乗り入れるには編成組替えあるいは勾配に対応した新形式の導入が必要と考えられ、実際南海電鉄はなにわ筋線用に新型特急車両の導入を検討している。

   もう一つ、なにわ筋線活性化のネックは、なにわ筋線と南海本線の合流が「平面交差」で計画されていることだ。線路を平面でクロスさせる平面交差の場合、列車が分岐する時に反対側の線路も支障するので過密なダイヤを組みにくくなる。計画段階であって立体交差になる可能性もあるが、平面交差では南海からの乗り入れ本数は限定的なものとなるかもしれない。

   南海本線の優等列車は所定では日中1時間あたり和歌山方面への特急「サザン」が2本、関西空港方面の特急「ラピート」が2本、空港急行が4本運行されている。17年9月に大阪市都市計画局が定めたなにわ筋線の整備計画では運行本数は1時間あたり南海が特急2本と急行4本、JRが特急3本と快速4本を想定しているが、平面交差で南海から毎時6本の乗り入れはダイヤ設定が煩雑となり、特にダイヤ乱れ発生時には混乱が長引く恐れがある。

   他社を見ると、平面交差で有楽町線と副都心線の列車をさばいていた東京メトロ小竹向原駅は定時性確保のために線路を増設して平面交差を解消する工事を行い、阪急京都線と千里線の乗換駅で平面交差構造の阪急淡路駅も高架化工事が進行中だ。

   南海にとってなにわ筋線は乗り換えなしで梅田に乗り入れられる大きなアドバンテージをもたらす路線だが、JR西日本と共用であることや以上の条件から本数が限られてしまっては、アドバンテージを十分に生かせなくなる。

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