衣料品チェーン大手の「しまむら」が2021年4月5日、21年2月期連結決算を発表し、4期ぶりの増収増益を果たした。「巣ごもり需要」の取り込みや広告戦略の見直しが奏功した。
広告宣伝費を削っても効果大
売上高は、前期比4.0%増の5426億円、最終利益が同99.3%増の261億円だった。3期連続で減収減益だったが、好転した。
新型コロナウイルスの感染拡大による「巣ごもり需要」の高まりや独自ブランドの強化、EC事業の展開が業績を押し上げた。
広告戦略の見直しも効果的だった。第2四半期からデジタル広告を、第3四半期からは動画広告の出稿を増やし、客足増加につなげた。年齢や性別、商品セグメントごと広告を配信する手法を新たに取り入れた。
一方、従来の主要媒体だった新聞折込みチラシは出稿量を減らした。変わってウェブチラシに力を入れた。テレビCMは見送り、広告宣伝費は114億7800万円と2割強抑制した。
しまむら企画室は取材に「テレビCMよりもユーチューブなど動画広告の方がより低いコストでかつ売上効果も十分あったため、ウェブの方に重きを置いていこうと去年から進めています」と話す。
今後は従来のマス広告も検討しつつ、デジタル広告に軸足を移していく考えだ。2021~23年度の中期経営計画は「デジタル広告の拡大(動画配信の拡大、セグメント別の対応)」「オンラインサイトと実店舗でお客様へのレコメンドシステムを導入」「モバイルデジやスマートレジの活用で店舗業務を効率化」など、いわゆる「DX(デジタルトランスフォーメーション)」を強く意識した内容になっている。